鉄道各社が廃止「回数券」それでも全廃しない事情 「ポイント」で代替できない障害者割引など存続

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駅の定期券・回数券販売機。北海道を除くJR旅客5社は普通回数券の販売を9月末までに終了する(撮影:尾形文繁)

新幹線や特急の回数券が軒並み廃止される中、在来線の普通回数券も販売を取りやめる鉄道が増えてきた。JR九州は2021年6月30日に普通回数乗車券の販売を終了し、JR西日本もICOCAエリアでの回数券販売を同年9月30日に終了した。

この流れは続き、今年4月26日にはJR東日本が9月30日をもって普通回数券発売を終了すると発表。さらに6月10日にはJR東海、同月16日にはJR四国、29日にはJR西日本も9月末で発売を終了すると発表した。JR北海道を除くすべてのJR旅客会社が、普通回数券を廃止することになったのだ。

廃止されない回数券がある

JRの普通回数券は200km以内の区間で発売され、11枚つづりで運賃10枚分の金額となる。有効期間は3カ月。途中下車はできず、大人の回数乗車券で小児2人まで乗車できる。

廃止の動きが相次ぐが、これらJR各社の普通回数券すべてがなくなるのではない。発売を終了するとしている会社でも、一部残るケースがある。

それは以下のような場合だ。普通回数券の廃止を告知するJR各社のプレスリリースには、文言はそれぞれ微妙に違うものの次のような意味の文章が掲載されている。

身体障害者割引、知的障害者割引および通学用割引の普通回数乗車券は引き続き発売します。

つまり、身体障害者や知的障害者割引の回数券は今後も残る。また、通学用割引の回数券というのも残るという。なぜ残るのか、そしてこれらの割引はどのようなものなのか。

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