鉄道各社が廃止「回数券」それでも全廃しない事情 「ポイント」で代替できない障害者割引など存続

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まず、障害者を対象とした割引がどのようになっているか見てみよう。

身体障害、知的障害の第1種障害者とその介護者は、普通乗車券と回数乗車券、普通急行券を50%の割引で購入することができる。また、第1種障害者・第2種障害者が単独で利用する場合は、普通乗車券が50%の割引となる。上記に当てはまる場合は、普通回数券が50%割引になるわけだ。

これらの回数券を買うには、障害者手帳などを確認したうえで発売するので、「みどりの窓口」もしくはオペレーターと通話が可能な「話せる指定席券売機」で扱うという。

障害者割引の回数券を残す理由についてJR東日本に問い合わせると、次のような答えが返ってきた。

各種の障害に対する割引の回数券は、「リピートポイントサービス」では代替されない状況があるという。つまり、乗車ポイントによる還元ではその代わりにならないというわけだ。

バスではICカード乗車券で障害者の運賃割引ができているが、これは運転士が割引の操作をするからであり、自動改札機ではこのような対応はできない。また、社会政策的な位置づけなど設定の趣旨が一般向けの回数券と異なることから、これらについては残すことにしたのだという。

誰が使う?「通学用回数券」

では、今後も残るもう1つの回数券「通学用割引回数券」とはどんなものだろうか。一般的には通学定期の割引率は高く、毎日通学しなくても元が取れる金額だ。

大手私鉄各社の回数券入れ。私鉄も回数券の廃止が相次いでいる(写真:Digitalian/PIXTA)

JRによると、通学用割引回数券は通信制の高等学校の生徒や、放送大学の学生が面接授業や試験を目的として通学する場合に発売するものだという。つまり、通学の頻度が低い生徒・学生向けということだ。この回数券はJRでは通信制高校は5割引、放送大学は2割引である。この回数券が残るのも、ポイントサービスでの代替が不可能であり、社会政策的な位置づけがあるとのことだ。

購入には各学校が発行した学生割引証が必要で、こちらも「みどりの窓口」もしくは「話せる指定席券売機」で学割証を見せる必要がある。

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