鉄道各社が廃止「回数券」それでも全廃しない事情 「ポイント」で代替できない障害者割引など存続
大手私鉄でも回数券の発売終了は相次いでいる。名古屋鉄道はいち早く、2011年2月29日限りで普通回数券の発売を終了した。
近年の普通回数券廃止に先鞭をつけたのは京阪電気鉄道で、2020年12月30日で発売を終えた。西日本鉄道も2021年7月31日に終了した。京阪は代わりにICOCAでのポイントサービスを開始するものの、西鉄はICカードnimoca(ニモカ)のポイントサービスも終了している。
このほか、東武鉄道も2021年9月末をもって終了。小田急電鉄は各社で回数券の衰退が続く中、2020年に「チケット10」という10回セットの新たな回数券を発売開始したものの、2022年7月31日で発売を終えることになった。一方で、同社も4月からPASMOでの乗車でポイントがたまるサービスを導入した。
「紙の回数券」いつまで残るか
これまで述べたように、交通系ICカードの普及で普通回数券はその役割を終えようとしている。
ただ、障害者用の割引や、通信制学校へのスクーリング用の割引回数券などは、現状では交通系ICカードに搭載できる状況になっていない。一方で社会的な要請として必要なものであることから、紙の切符として今後も残り続けることになる。
ただ、このような割引回数券は残るものの、駅の窓口などが減少している現状にあって、障害者などがこれらの回数券を購入しやすいとはいいがたい状況になっている。JRには「話せる指定席券売機」もあるが、今後さらに窓口の減少や営業時間の短縮が考えられる中、「社会政策的な位置づけ」で残しているこれらの回数券が購入しにくくなる可能性がある。回数券を残すからには、障害者などの人々が購入しやすいサービスを維持することも重要だ。
もっとも、これらの回数券で行っている割引も、いずれは交通系ICカードで対応できるようになるだろう。その時が、回数券の終焉の時になることと考えられる。
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