リコーの構造転換(中)-「草の根クラウド」で中小企業を囲い込め
スタッフの能力向上にも力を注ぐ。
ユーザーとの最初の窓口となるアカウントセールスマン(約7700人)に対しては、「IT RSS」(リコー・ソリューション・セールス・スクール)という研修を用意し、顧客の課題をキャッチアップするための業務知識や技術を講義する。
サービスを実際に提案するシステムセールスマン(約1200人)に対しては、「IT ROCS」(リコー・オフィス・ソリューション・コーディネーター・スクール)というトレーニングを実施。6カ月もの間、各月に2日間を缶詰め状態にして、ITスキルやプレゼンススキルなどを向上させる。
このITサービスは、ユーザーの囲い込みに有効だ。
東京・銀座に105年もの間、店舗を構えるネクタイの老舗「田屋」。リコーとは複写機で30年以上の付き合いがあったが、店内ネットワークの構築に迫られたことをきっかけに、5年前にリコーのパックを利用。
2年前にはPOSレジ導入を決断。その際も、店舗と店舗を結ぶVPN(仮想施設網)接続が必要なことから、その手続きをリコーに依頼した。
「すぐに駆けつけて、どんなことにも対応してくれる。安心して任せられる」と、田屋の大角正幸氏。故障がなくても、月に2度はサービス担当者が「お困りのことはないですか」と立ち寄るようだ。
大角氏は、他社から事務機セールスがあっても「相手にしない」と断言する。
リコーはITサービスの10年度売上高を前年比15%増の600億円と見込む。13年度には、国内だけで800億円を目指す。そして、見据えるのは海外展開だ。
「これまで、草の根クラウドは国内中心だったが、これからは海外でどんどん展開していく」と、リコーの岡島秀典グローバルITサービスセンター所長。「プロアクティブサービス」の名称で、すでに欧米でサービスを開始した。
日本式の長期関係を重視したきめの細かいサービスが、海外でも浸透するのか注目である。
(梅咲恵司 撮影:梅谷秀司=東洋経済オンライン)
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