車がない!国産/輸入車「新車納期」の切迫度 納期6カ月も当たり前になった自動車販売の今

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納期の遅延は日本車と同様、あるいはそれ以上に輸入車でも問題になっている。もっとも注目されるのはフォルクスワーゲン「ゴルフ」の動向だ。

輸入車のベストセラー「ゴルフ」にも影響が……(写真:フォルクスワーゲン グループ ジャパン )

輸入車販売ランキングではこれまで、1位:BMW「ミニ」、2位:ゴルフというのが定番であった。ミニの登録台数は、3/5ドアハッチバックからワゴンの「クラブマン」、SUVの「クロスオーバー」まで、ミニブランドの全車種を合計したシリーズ全体の数字だから、単一車種での実質的な1位はゴルフであった。

それが2022年1~3月の輸入車登録台数を見ると、1位はミニで変わらないが、2位はメルセデス・ベンツ「Cクラス」、3位はフォルクスワーゲン「ポロ」で、ゴルフは4位に落ちていた。

「Before コロナ」比40%減

なぜ、ここまでゴルフの順位が下がったのか。販売店は以下のように説明する。

「ゴルフは納期が全般的に長い。少し前まで、ワゴンの『ゴルフヴァリアント』は、納期が約1年だった。今では少し短くなったが、それでも9カ月を要する。ハッチバックのゴルフも約半年だ。そのためにポロが上回った。少し前はコンパクトSUVの『T-CROSS』の納期が短く、ゴルフ以上に販売された」

ゴルフは定番の人気車だが、納期が長い。現行型(8代目)は海外でも人気で、日本でも2021年に発売されて売れ行きを伸ばした。その結果、納期も延びて、販売店は「ゴルフのお客様が、納期を短縮するために、SUVのT-CROSSや『T-ROC』に乗り換えることもある」という。

「ゴルフ」とサイズ感の似ているSUV「T-ROC」(写真:フォルクスワーゲン グループ ジャパン )

この影響で、日本国内で販売されるフォルクスワーゲン全体の売れ行きも下がり、2022年1~5月の1カ月平均は2383台にとどまった。新型コロナウイルス問題が顕在化する前の2019年1~5月に比べると、2022年の登録台数は62%。40%近い大幅な減少になっている。

メルセデス・ベンツは、今では輸入車の販売1位となっているブランドだが、車種によっては納期が長い。販売店によると「売れ筋のコンパクトな『Aクラス』は、8~9カ月を要する。SUVスタイルの『GLA』は、もう少し長く10~11カ月」という。

そのためにAクラスやGLAは輸入車販売ランキングの順位も下がり、2022年1~3月のデータを見ると、Aクラスが高価格の「Eクラス」を下まわっている。

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