ナイキの「選別」で始まった靴小売りの地殻変動 小売り各社を揺さぶる大手ブランドの直販強化

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ナイキの売り上げ比率を下げる方針を発表したフットロッカーは2021年10月、アパレルのPB「LCKR」を始動させた。今後もPB事業に注力する方針を掲げている。

ただ、靴のPBで戦うには、研究開発や広告宣伝の面でより資本力と工夫が試される。三井物産の流通事業本部ブランド&リテール事業部の小手川健司室長は「靴はアパレル以上に着用時の快適さが重視され、履きやすさを伴わない見栄えだけのものは一過性のブームで消えやすい。また、小売店のPBはブランドネームの勝負では厳しいため、尖った機能やストーリーなどが重要」と指摘する。

ワークマンも靴のPB展開に本腰

難易度の高い靴のPBは、ユニクロも失敗してきた過去がある。そうした中、自社で靴の開発・販売に挑む小売企業が国内で新たに現れた。作業服専門チェーンのワークマンだ。

同社は2022年4月、靴専門業態「ワークマンシューズ」の出店を開始。作業服に長年特化してきた知見をベースに、過酷な環境でも着用できる靴の開発を強みとする。防水力の高いカジュアルな長靴や、クッション性の高い中敷きを使用したパンプスなど、尖った機能性と980円~2900円の価格帯というコストパフォーマンスで勝負に出る。

チヨダもPBの「セダークレスト」で、透湿防水(蒸れにくい・防水)の「ユーティリティスニーカー」の開発に力を注ぐ。全国にある店舗網を生かし、消費者の生の声を反映させた商品開発を進める。

「靴専門店として、靴としての機能性を高めた“究極の普段履き”で差別化を図っていく」(チヨダの安立氏)。かかと部分に靴ベラのような素材が入り、手を使わず楽に履ける「スパットシューズ」も売り上げを伸ばしているという。

大手NBの方針変更にも惑わされない小売店へと生まれ変われるか。靴小売業界に起きた地殻変動は、従来のビジネスモデルからの大きな転換を迫っている。

山﨑 理子 東洋経済 記者

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やまざき りこ / Riko Yamazaki

埼玉県出身。大学では中国語を専攻、在学中に国立台湾師範大学に留学。2021年東洋経済新報社に入社し、現在小売り・アパレルを担当。趣味はテレビドラマのロケ地巡りなど。

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