東海道新幹線「3つのカイゼン」で目指す将来の姿 速度向上だけでなく安全・安定・サービスも

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本来、列車のドアとホームドアの位置にずれがあった場合は停車位置を修正してから両方のドアを開けるのが原則だが、国土交通省は「異常事態が発生している列車では修正せず、ドアとホームドアの双方を開けて乗客を安全に避難誘導する」という新たな対策を打ち出した。また、走行中に非常ブザーが押された場合は原則としてその場で緊急停止させるとされていたが、「車内で複数の非常通報装置のボタンが押され、内容が確認できない場合は、速やかに適切な場所に停車する」とした。

そこで、JR東海は新たな対策に基づき、品川―新横浜間で複数の非常ボタンが押されたという想定で最寄り駅である新横浜まで走行させ、新横浜駅で列車位置とホームドア位置がずれている状態での乗客の避難を誘導するという訓練を行うことにした。

警察官が演じた刃物を振り回す不審者(撮影:尾形文繁)

訓練には運転士、車掌、駅係員、指令員、パーサー、警備員などに警察も加えたおよそ150人が参加した。刃物を振り回す男性を演じたのは警察官である。こうした実地訓練は気を抜くと緊張感がないものとなりがちだが、女性が張り上げた声の大きさは、少なくとも訓練を取材する報道関係者たちを動揺させるだけの迫力があった。ちなみにこの女性はJR東海の社員だという。

緊急事態の車両を

女性の叫び声を契機に、たまたま12号車に乗り合わせていたという想定のJR社員が車両内の乗客に「逃げて、逃げて」と大声を出して、ほかの車両に誘導する。“乗客”たちは「わー」「きゃー」と叫びながら一目散に前後の車両に駆け込んだ。誘導されているというよりも本気で「逃げて」いるように見える。これも女性の叫び声の効果だろう。

逃げる途中で複数の「乗客」が非常ボタンを押した。非常事態が起きたと判断した乗務員は行動を開始した。運転士は新横浜駅での緊急停車に向け速度を落とし、車掌は12号車で緊急事態が起きていることをアナウンス。この男性がほかの車両に移動できないように前後の扉が閉め切られた。

刃物を持った不審者がほかの車両に移動できないよう扉を閉め切る(撮影:尾形文繁)

警備員が12号車に乗り込み、刃物を持つ男性が襲いかかってこないように注意しながら、逃げ遅れた乗客がいないかどうかを確認した。車内放送が特定の車両のみ流れるように設定されると、新幹線総合指令所も車内対応のサポートを始めた。詳細は明かされなかったが、新横浜到着後の手順などが説明されたはずだ。

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