日本初「がん治療支援ホテル」に渦巻く期待と不安 三井不動産が千葉で開発、外来診療も受け付け
秋葉原駅から、つくばエクスプレスで約30分。東京大学柏キャンパス(千葉県柏市)の目の前に、一棟のホテルが竣工した。
ホテルの名称は「三井ガーデンホテル柏の葉パークサイド」。デベロッパー首位の三井不動産が開発し、2022年7月1日に開業した。客室数は145室、素泊まりならば1部屋7000円強から宿泊できる。
一見すると普通のビジネスホテルだが、特徴はその立地と内部の仕様にある。同ホテルは、国立がん研究センター東病院の敷地内にあり、病棟までは徒歩で3分ほど。館内は患者の宿泊を想定した間取りとなっており、ストレッチャーや車いすが動けるよう、一部の客室ではトイレなどのスペースを広く確保している。
専門の介護スタッフも24時間常駐する。宿泊客が体調の異変を感じた場合、客室に設置されたボタンでいつでもスタッフを呼び出せる。ホテル内でのIT活用も進めており、患者が同意すれば、計測したバイタルデータなどを東病院やホテルのスタッフとデバイスを通じて共有できる。
ホテル内の診療室で外来対応も
ホテルには診療室が10室設けられ、日中は東病院の診療医とスタッフが常駐している。外来診療も受け付けるため、セカンドオピニオンを求めて全国から来院する患者らの対応をホテル内で行えるという。
東病院の林隆一副院長は「セカンドオピニオンで来院する患者の診療は月に150件ほどあり、東病院は手狭になっていた。ホテル内の診療室に集約することで、東病院も合わせたトータルでの稼働率を上げられるはずだ」と期待する。
国立がん研究センターによれば、東病院には年間およそ30万人のがん患者が来院する。そのうち約3割が、100㎞以上離れた遠方からやって来る患者だ。東病院の土井俊彦・先端医療科長は「海外から来院する患者も多く、その家族が滞在する施設が必要だった」と話す。
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