18きっぷ越える衝撃、ドイツ「9ユーロ乗り放題」 地下鉄やバスなども含め1カ月有効、だが課題も

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翌日はマクデブルクを散策したのち、ポツダムを目指す。前日ほどではないが、やはりかなりの数の乗客が乗り込んだ。普段と比べ、やはり明らかに乗客の数は多く、9ユーロチケットの影響は大きい。

マグデブルク駅に停車する列車。ここも通常より多くの乗客であふれていた(撮影:橋爪智之)

今回は都合3都市と、それを結ぶローカル列車に乗車したが、チケットをいちいち買い足さなければいけない不便さも無駄な出費もなく、ただただ便利という印象を強く持った。しかも、今回は2日間の利用だったが、1カ月有効のため6月中は引き続き利用できるのだ。そう考えると、やはり夢のようなチケットだ。

夏休みの混雑を乗り切れるか

しかし一方で、問題点がないわけではなかった。まず都市部の電車やバスのみならず、都市間を結ぶローカル列車まですべて利用可能としたことで、都市間を結ぶ列車が大変な混雑となり、週末の一部の列車では乗降に支障をきたす事態となっていることだ。私が利用した列車や区間がたまたま混んでいたのではなく、他都市の鉄道を利用している人たちからも、普段とはレベルの違う混雑になっているという声が聞こえる。

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これは発売前から指摘されていたことで、夏休み前でもすでに運行に支障をきたすような混雑となっている。混雑が予想される区間や路線については、今後客車の増結を真剣に検討しなければ、いずれ乗り切れないという事態を招くだろう。

また、優等列車が多く走る大都市間については、基本的に直接結ぶローカル列車は少なく、今回のように何度か乗り継いで都市間を移動するというパターンが増えそうだ。だが、遅延などによって乗り継げない乗客が増えたり、あるいは今回のように接続列車を待つことで遅れが各方面の列車に波及していく可能性も考えられる。

9ユーロチケットは画期的なアイデアであるのは間違いなく、実際これによって車移動をやめた人が増えたのなら大成功といえるが、増えた乗客への対策という新たな課題も浮上したともいえる。ただ、より多くの乗客が利用する可能性がある夏休み時期までに対策を講じなければ、一部の列車は本当にパンクしかねない。各鉄道会社は6月の状況を精査したうえ、早急な対策をすることが今後の課題となるだろう。

橋爪 智之 欧州鉄道フォトライター

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はしづめ ともゆき / Tomoyuki Hashizume

1973年東京都生まれ。日本旅行作家協会 (JTWO)会員。主な寄稿先はダイヤモンド・ビッグ社、鉄道ジャーナル社(連載中)など。現在はチェコ共和国プラハ在住。

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