業績急回復で見えてきたパワービルダー(低価格分譲戸建て会社)の課題
郊外の狭小地に3~5棟の分譲戸建て住宅を建設する、パワービルダーの業績が急速に復活している。理由は、価格の安さだけではない。中堅デベロッパーの倒産で都市近郊のマンション供給が激減していることも、その背景にある。
パワービルダーが造る分譲戸建ては30坪程度の土地付き2階建てで2000万~2500万円前後。大手が供給する価格の約半分。銀行融資の基準といわれる「年収の5倍」を当てはめると、購入層は年収500万円前後の1次取得者層が中心だ。多くは30代前半で、それまで賃貸マンションに住んでいた層になる。
パワービルダーの中で目立つのが、一建設(旧飯田建設工業)や同社の飯田一男会長の肝いりで生まれた6社だ。さらに3月15日には7番目の会社、アイディホームがナスダックに上場する。
現在、社長が「飯田一男氏の女婿」(業界関係者)であるアーネストワン以外は、飯田一男氏か同氏の資産管理会社が大株主に顔を出す。しかし、「お互いはライバル同士。仕事上の協力はない」(東栄住宅広報担当)と、熾烈な競争をしている。
一建設とアーネストワンの営業利益水準は注文住宅中心の大手ハウスメーカーを凌駕している(下グラフ)。だが、営業経費や間接費を計上する前の利益である粗利益率を見ると、大手ハウスメーカーのほうがはるかに高い。前期の粗利益率は一建設が15・4%。アーネストワンが18・6%。これに対して大手ハウスメーカーのミサワホームは22・4%、三井ホームは23・9%という具合だ。
これはパワービルダーが土地を先行購入して家を建てているためだ。が、その分、独自の経営ノウハウを持っている。それは「土地を高く買っても、建物部分を安く造ることでカバーする」(岡田慶太アーネストワン管理本部長)というものだ。