離婚後の親権「共同?単独?」識者が是非を大激論 現在は単独親権のみ、共同親権導入どう考えるか
松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):6月21日に法務省が法制審議会の部会に離婚後の共同親権導入などを盛り込んだ中間試案のたたき台を提示した。共同親権を導入すべきだと考えるか。
櫻井よしこ氏(ジャーナリスト、国家基本問題研究所理事長):子どもの幸せ、健全な養育、成長を考えると絶対に共同親権にしなければいけない。問題点があれば、個々の問題として解決することが大事なのであり、父母がともに子どもに愛情を注ぎ、注意をし、養育し、励まし、時には叱り、そして子どもの成長を一緒に見届けるという意味での共同親権は本当に大事だ。
「子ども良し、親も良し、社会も良し」を目指して
松山キャスター:本田さんは共同親権に反対する署名活動もしている。なぜ反対するのか。
本田正男氏(弁護士):反対というか、きちんと考えた方がよいと思っている。3点申し上げる。一点は家族の形は様々で共同親権になったらこうなるというような算数の問題を解くように簡単に答えが出るわけではない。非常に個別的に考える必要がある。2点目は、裁判所のインフラが非常に脆弱だ。日本の裁判所は米国のように非常に細かくは全くできない。丁寧にやれば裁判所に負荷がかかりすぎてしまい、できない。3点目だが、子どもは生まれた時は親なしでは生存できず、親のほうが子どもを自由に操作できるような感覚になり、勘違いしてしまう。どうしても子どもにプレッシャーを与えすぎてしまう感じになってしまう。もう少し子どもの意向が汲めるような状態を出さなければいけない。
しばはし聡子氏(共同養育サポートりむすび代表):数々の懸念事項あるとは思う。離婚しても子どもにとり親が二人であるというすごく当たり前のことを浸透させるという意味でも共同親権が選択できる制度を導入するべきだ。ただ、両方選択できるというときに逆に親権を巡って争う構造になることが懸念される。
にしゃんた氏(タレント、羽衣国際大学現代社会学部教授):当然、共同親権があるべき姿であり、もっとも理想的な形だ。現状は「三方良し」になっていない。親権を持つ片親だけが喜び、往々にして子どもと親権のない親が泣き寝入りしている。「両親良し、子どももよし」、あるいは、「子ども良し、親も良し、社会も良し」までもっていく必要があり、今回良いチャンスが巡ってきているのではないか。
櫻井氏:裁判官、司法の方が、裁判官を増やすことにずっと反対してきたという実態があり、裁判官の数が足りない現実がある。裁判官が足りない現実に合わせて子どものことを、家庭のことを今の歪な単独親権の形にしておくのは、本末転倒で子どものことを考えていない議論だ。