離婚後の親権「共同?単独?」識者が是非を大激論 現在は単独親権のみ、共同親権導入どう考えるか

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櫻井氏:共同親権を基本にするというところをはっきりさせたほうがいい。片方の親が性犯罪をしたとか、DVをしているとか、どうしても許せない状況がある場合は、もう片方の親に任せるという意味の単独親権があっていいとは思う。けれども、法体系としては共同親権を基本とするところに軸足を置かないと。法務省の提案にも一応、共同親権という言葉は入っているが、これはものすごく狭い範囲の共同親権だ。学校をどこにするか、何か大きな病気をした時の治療法をどうするか。共同親権は父母両方が子どもに関わり、時間を共に過ごし、子どもの顔を見ながら、子どもの声を聞きながら、子どもの心理を推測しながら、本当にそこに大人の親としての愛情や配慮を注いでいくということが共同親権だ。どこの学校にするか、大病したからどうするか、宗教をどこにするか、キリスト教にするか、仏教にするのかを決めるときに共同親権と言っているが、それはごく一部のことだ。法制審の家族制度部会の委員にはすごくリベラルな人権派と言われる人たちがいて、その人たちが主導してシングルマザーだけを応援するというような傾向がなきにしもあらずだ。シングルマザーの応援はとても大事だと思うが、もっと視野を広げて、子どもの幸せ、子どもの健全な育成を考えたところに、わが国の法律は立脚しないといけない。その意味では、共同親権か一部単独親権かではなく、「原則共同親権」だ。しかし、どうしても親に問題があるときは、これは単独親権だね、という工夫がなされるような法制度にしないといけない。

(画像:FNNプライムオンライン)

子どもにとっての幸せ

本田氏:結局調整のところで揉めてしまう。例えば、学校の話があったが、横浜市の隣にあるA小学校とB小学校のどちらに入るかでもめている。相手方代理人は「裁判所で決着すればいいのではないか」と言う。そんなこと言ったら4月になってしまう。本来は二人が調整できることが大前提だが、イコールの関係がないとただもめるだけだ。そのもめる家庭の嵐の雨風を浴びるのは子どもだ。離婚で裁判になるのなんて1%ほどだが、結局我々(弁護士)のところに来るようなのはものすごい嵐が吹いているような状態なので、むしろそういう状態から切り離されている方が子どもにとっては幸せなのではないか。

しばはし氏:実際、裁判所を通して離婚調停などを行っていくと別居前よりも関係が悪化する事例がよくある。どちらが親権をとるかもそうだが、離婚は破綻主義ではなく有責主義となると、相手が悪いから離婚すると。書面で相手の批判をしていく。そうなると別居前よりもより関係が悪くなって離婚後にとても共同養育できるような関係にならないというケースもある。むしろ大事なことは、親権をどちらにするか選択することよりも、別居後にすぐに子どもと会える環境をまず制度として作ること。離婚後も共同養育できる関係性をつくっていくために例えば裁判所にカウンセリングの制度を設けるなど、そういう環境をつくっていくことの方が大事だ。

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