素通り観光列車に「ドア開けて」、地元学生の奮闘 JR日下駅おもてなし活動は「乗客の下車」目指す

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ドアが開かない列車の前で懸命にPR活動をする「日高村おもてなし楽会」のメンバーたち(筆者撮影)
運転停車ーー。駅に到着してもドアが開かず、客が乗り降りできないという扱いです。JR日下駅は観光列車が県外から来た多くの客を乗せて運行しているにもかかわらず、運転停車のため客が下車しない駅の1つです。そんな日下駅で、乗客の窓越しに懸命に観光PR活動をしている学生たちのグループがあります。メンバーの1人から手記が寄せられました。

私は、高知大学の学生として地域住民とともに、2021年7月より高知県中部に位置する日高村の日下駅で、JR四国が運行する観光列車のおもてなし活動に携わっている。おもてなしをしている観光列車は、高知駅から窪川駅の間を運行する「志国土佐時代(トキ)の夜明けのものがたり」。所属する団体は「日高村おもてなし楽会」だ。

トマトやオムライスが名物

大学進学前より日本各地を旅行していた私は、さまざまな場所を訪れる中で廃屋やシャッター商店街などを目の当たりにし、なぜこのような事態になったのかたびたび疑問に感じた。それがきっかけで、地方創生に興味を持った。衰退する地方の状況を少しでも改善し地域経済を活性化しようとする活動が「地方創生」であると知った。

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高知県は人口が大正時代並みの67万人台にまで減少し、県内総生産もほぼ全国最下位という、人もいなければ経済力もないという絶望的な現状である。しかし、その一方で、ユズやナスなどの農作物の生産量は全国トップクラス。高知県には活用次第で地方創生につながるポテンシャルが十分にある。そして私たちが活動している日高村にはトマトが名産品であり、ご当地グルメのオムライスもある。

2021年7月初旬、大学の同級生といっしょに高知県中部にある日高村を訪問した際、「村の産業環境課が観光列車のおもてなし活動におけるサポーターを募集する」という話を聞いた。高知県内のポテンシャルを地方創生に活かすためのヒントを探るために、私はこのおもてなし活動に参加することを決めた。その時点では、まだ具体的な活動内容や団体名は決まっていなかった。

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