素通り観光列車に「ドア開けて」、地元学生の奮闘 JR日下駅おもてなし活動は「乗客の下車」目指す

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

私が最初におもてなし活動に参加をしたのは2021年7月24日だ。私を含め4名の高知大生が活動に参加してまず直面したのは、日下駅は運転停車の駅ということだった。つまり、列車は駅に停車するが車両のドアは開かない。乗客がホームに降りることはないのだ。このような不利な状況で効果的に地域のPRをしなければいけないという現実だった。

高知駅から窪川駅の間を運行する「志国土佐時代(トキ)の夜明けのものがたり」(筆者撮影)

乗客が駅に降りることができないのであれば、乗客の心に残るような窓越しのおもてなし活動を充実させたい。そのため、横断幕の制作のみならず、着ぐるみを制作したりコスプレをしたりするなどの工夫を凝らすことで、乗客に視覚的に楽しんでもらえるような活動を行うことにした。

新しい発見もあった。この観光列車に運行開始から常連客として定期的に乗車しており、一般人でありながら沿線では誰もが知っている有名人、本田昇さんの存在だ。観光列車への乗車回数は2022年5月に150回を達成。驚くのはそれだけではない。居住地の大阪府から観光列車に乗るために毎週のように夜行バスを使って高知県まで来ているという。人をそこまで惹きつける魅力がこの土地にあるということがわかった。

団体名は「おもてなし楽会」

日下駅でのおもてなし活動は、しばらく団体名がないまま続けられていた。だが、あるときに私はふと「日高村おもてなし学会」という名称にしてはどうかと思いついた。日高村のおもてなしをより多くの人に認知してもらうことで村のPRや活性化につなげたいということと、ありきたりな名称にしたくなかったという2点が理由だ。

さっそく、メンバーにこのアイデアを打診したところ、名称に関しては全員一致で賛成に。読み方は同じでも「学会」より「楽会」のほうがより楽しさが感じられて良いのではという意見が出たことから「日高村おもてなし楽会」として10月に正式決定した。

次ページ「富士宮やきそば学会」がヒントに
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事