キーエンス「時価総額4位企業」の淡泊な株主総会 具体性を欠いた説明に個人株主からは不満も

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アナリストの在籍する証券会社をみて提供する情報に差をつけるようなこともないという。個人投資家の利用が多いSBI証券に所属する和泉美治シニアアナリストは、「情報量は少ないが開示姿勢は非常にフェア」と語る。株主との対話も「うまくいっているほうではないか」とみる。

キーエンスの株主に対する姿勢を全般的には前向きに評価する和泉氏だが、総会で個人株主から出された意見に同意する部分もある。株式分割は「積極的にやらない理由はないと思う」と話す。

最低投資金額の多さでは上場企業で5位

最低投資金額が100万円以上の上場企業は、714万円のファーストリテイリングを筆頭に40社近くある(6月27日終値で算出)。最低投資金額の多さでキーエンスは5位。これら企業の多くは最低投資金額の引き下げに関して慎重だが、10月に1株を10株に分割する3位の任天堂のような企業もある。

キーエンスの個人株主からすると、500万円近い現状の最低投資金額を変えないのは、新たな個人投資家の参加を事実上、拒否する形になっていると映る。だが、逆張り姿勢が強いとされる個人投資家の層が厚くなることは、機関投資家が売りに転じた際の受け皿にもなりうるだろう。

東証は、望ましい投資単位の水準以上(50万円以上)で株式が売買されている場合、当該企業の投資単位の引き下げに関する考え方や方針を開示するよう義務づけている。株主総会から一週間後、6月17日に公表されたキーエンスのリリースでは、投資単位の引き下げについて、こう書かれていた。

「費用対効果、市場の要請、株価・売買動向等を勘案してまいる所存であります」

その文言は毎年同じ。現状、中田社長の言う「多くの方の応援」は不要なのか。個人株主に向けて、キーエンスのスタンスがわかる具体的な説明をしてもよいのではないか。

キーエンス「7つの数字」でわかる独自性とすごみ

緒方 欽一 東洋経済 記者

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おがた きんいち / Kinichi Ogata

「東洋経済ニュース編集部」の編集者兼記者。消費者金融業界の業界紙、『週刊エコノミスト』編集部を経て現職。「危ない金融商品」や「危うい投資」といったテーマを継続的に取材。好物はお好み焼きと丸ぼうろとなし。

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