シャープ再赤字、問われる"抜本改革"の中身 「選択と集中」より既存路線で再生目指したが

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決算発表会では「抜本的な構造改革を推進」とのフレーズを繰り返した高橋社長

「急激な経営環境の変化により、従来の取り組みでは事業の成長が難しい状況となった」。2月3日に行われたシャープの2014年度第3四半期(2014年4~12月期)決算説明会。高橋興三社長はそう語り、今通期計画の下方修正を発表した。

第3四半期の実績は売上高2兆904億円(前年同期比3%減)、営業利益512億円(同37%減)、最終損益は71億円の赤字(前年同期は177億円の黒字)だった。

 業績急悪化3つの理由

今通期見通しは、売上高こそ据え置いたが、営業利益500億(同53%減)、最終赤字300億円(前期は115億円の黒字)に転落。従来計画からは営業利益500億円、最終損益600億円の下方修正となる。

 経営危機後の2013年5月、シャープは再建に向けた3カ年の中期経営計画を発表。初年度の2013年度は当初計画をクリアしたが、わずか2年目で中計の見直しを余儀なくされている。

業績悪化について、会社側が説明した要因は主に3つ。一つは柱の中小型液晶パネルの競争激化、もう一つはテレビの苦戦、そして太陽電池の環境悪化だ。

中小型液晶が後退した理由は、中国のスマートフォン向け需要が想定ほど伸びなかったことに加え、シャープの販売網の弱い中国・華南地域で需要を取りこぼしたことがある。

需要を取りこぼした背景には、競合のジャパンディスプレイがタッチセンサー内蔵(インセル)型の独自パネルを拡販させた状況があると見られ、高橋社長は「わが社も今年夏頃にはインセルのパネルを量産する」と強調。課題の中国・華南地域でのシェア奪還を進める狙いを明かした。またスマホの高精細化に合わせ、低温ポリシリコンやIGZO(酸化物半導体)といった素材を用いた高精細パネルの拡販を見込む。

一方、テレビについても挽回策を披露。赤字の米国市場で機種数を絞り込み、採算改善を図るほか、販売が苦戦した国内市場については、4Kテレビの機種拡充などにより、取りこぼした大型の需要開拓を図る。

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