ギドラからゴジラへ「危機管理庁」設置3つの目的 日本の危機管理オペレーションは変われるか
この困難を打開するため、政府は、感染症に関する中核的な技術組織同士を合併させ、公衆衛生機能(病原体基礎研究と疫学調査)と医療機能(臨床医療)の統合運用を図ることに決めたということである。
合併後の機関は、厚労省の附属組織として設置されるようだ。これは、危機管理庁や感染症対策部といったオペレーションを行う主体に対して、公衆衛生や医療に関する技術情報をインプットするための技術的補佐機関として稼働するということである。
そもそもCDCとは何か
今回のように、しばしば日本版CDCということが言われるが、そもそもCDCとは何だろうか。
本家本元のCDCは、アメリカ保健福祉省の公衆衛生機能(病原体基礎研究と疫学調査)に関する附属機関である。アメリカ政府が感染症危機管理オペレーションを行う際には、保健福祉省の技術的補佐機関として機能する。
今回の日本版CDCは公衆衛生機能のみならず、医療機能まで付いていることから、本家のCDCを超越した機能を持つことになる。これは、「日本版」と謙遜して本家を追随するものではなく、日本が世界に先駆けて切り開く、コロナを経験した社会の危機管理に適した新たな機関であると言えるだろう。
一方、CDCは、強力な危機対応オペレーション機能も有している。CDCには、アメリカ公衆衛生局士官部隊という制服軍人が一定数おり、整然としたオペレーション機能を担保しているのだ。
日本版CDCにはこうした制服組によるオペレーション機能が作られることはなさそうだが、自衛隊などの危機管理オペレーションに精通したプロフェッショナルとの連携体制を確保することで、危機管理オペレーションを学び、能力を向上していくことは必須だろう。
いずれにしても、統合後の新組織の提供する価値が、1+1が2になるか5になるか10になるかは、新たなトップの手腕にかかっている。
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