ギドラからゴジラへ「危機管理庁」設置3つの目的 日本の危機管理オペレーションは変われるか
この司令塔機能を執行面で支えるのが、厚生労働省に新設される「感染症対策部」と言えるだろう。医療・公衆衛生分野の危機管理は、自然災害に加え、人為的、または自然発生的に生じるCBRN災害(化学・生物・放射線・核による危機)がある。
コロナ危機も、福島原発事故も、一種の国民保護政策としてのCBRN危機対応の一環である。「健康危機管理」というのは、自然災害+CBRN災害に対する医療・公衆衛生分野の危機管理であると言えるが、今回新設される感染症危機管理庁や厚労省感染症対策部は、あくまで「感染症(Biological)」という脅威に対抗する組織のようであるため、一種似たような政策体系を形成しているCRN(化学・放射線・核)をどのように位置付けるのかについては、今後注目すべき点である。
日本版CDCが誕生
1つの技術的補佐機関
岸田首相は「日本版CDC(アメリカ疾病予防管理センター)」を作るべく、国立国際医療研究センターと、国立感染症研究所を統合することを発表した。東京・新宿にあるこの2つの組織は、狭い道を1本隔てたお隣さんである。
前者は、大きな病院を含む臨床医療機能・研究機能・国際医療支援機能を有しており、日本の医療分野における感染症対策の中核だ。後者は、病原体研究を行うためのラボ機能・疫学インテリジェンス機能を有しており、日本の公衆衛生分野における感染症対策の中核である。お隣さんではあるが、まったくの別組織である。
新型コロナ危機では、保健所や地方衛生研究所が集めた公衆衛生情報と、全国の病院を受診した患者の臨床医療情報を統合することが困難であったため、一体的な対策を行うことに支障が生じ、効率的なオペレーションを組むことが難しい状況にあった。
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