ジープのトラック想定の4倍!売れないはずが… オフロードピックアップが持っていた潜在需要

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しかも、Fシリーズの全長はもっとも長いもので、6.3mに達する。乗用車というより、マイクロバスに近い。それと比べれば、全長5.6mのグラディエーターは“手頃なサイズ”なのである。

アメリカのベストセラー、フォード「F-150」(写真:Ford)

そんな市場であるため、トヨタもアメリカでは「タンドラ」というピックアップトラックを販売しており、こちらの全長も約6.2mという巨大さ。アメリカは、まさに“スケールが違う”お国柄であり、市場なのだ。

しかし、日本でピックアップトラックが売れることは珍しい。そのヒットの土台となっているのは、“ジープブランドの人気”である。実のところ、ジープは過去12年で、日本での販売を10倍以上にも伸ばしているのだ。

日本では、1980~1990年代にかけて比較的コンパクトなボディに4.0リッタークラスのエンジンを搭載したSUVの「チェロキー」が導入され、ホンダのディーラー網で販売されたこともあり人気を誇った。

ホンダディーラーで販売されヒットした1980~1990年代の「チェロキー」(写真:Stellantis)

しかし、2000年代になると、チェロキーの世代交代などで失速。2009年には、年間1010台にまで販売を減らしていたのだ。しかし、2010年代になると販売は上向きになり、2021年は1万4294台に。しかも、もっともオフロード色の強いラングラーが、販売を支えている。こうしたファンの増加が、グラディエーターの予想外の人気につながったのだろう。

メーカーとインポーターの地道な努力

ジープブランドが成長した理由をインポーターは、「品質向上」「ディーラー網拡充とCIの徹底」「ファンプロモーションの効果」「人気のラングラーに右ハンドル&4ドアを用意したこと」「レネゲード導入以降の女性オーナーの増加」「限定車の人気」と考えているという。

「品質向上」は、数十年前のアメリカ車の印象を思い浮かべれば納得できる。当時を知っている人なら、昭和の終わりごろのアメリカ車に対して、「品質が低い」とのイメージを持つ人も多いだろう。実際に、1980年代の日本車は「壊れない」という品質の高さをもってアメリカで売れまくった。そのおかげで、日本とアメリカで経済摩擦が激化したほどだ。

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