仕事が「1人に集中」する職場が陥る最悪の結末 仕事が振られない人にもストレスがのし掛かる

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一方で、仕事の属人化が進み、机を並べているのに、隣の人が今どんな仕事をしているのかもわからないという職場も出はじめました。在宅勤務者も増えて、その傾向に拍車がかかっている職場は多いのではないでしょうか。そこで起こるのは、「何かあっても仕事を休めない。助けてもらえない」という事態です。

唯一、全体の状況を把握しているのはマネジャーのみ。今誰が、何を、どのように進めているかが、メンバー同士で共有されていないため、人はいても、急に代わって仕事を進めることができないのです。

こういう事態を引き起こさないためにも、職場の情報の「知の共有」は不可欠です。とくに、在宅勤務のようなリモートでの仕事も当たり前になってきた昨今、日頃の何気ない会話で情報交換していたようなラフなコミュニケーションは難しくなってきました。

まず万一、誰かが病気やケガで仕事ができなくなった際、その仕事自体が止まってしまうリスクを抱えていることを認識すべきです。だからこそ、きちんと情報共有できる仕組みをつくり、組織内での仕事のブラックボックス化を防ぎましょう。

変化の激しい時代に役立つ「フロー型」情報共有

「ストック型」は、データベースなどに過去の仕事内容を蓄積するやり方です。例えば、成功事例の経緯をまとめた書類や、大型受注に結びついた企画書などを見られるように保存しておきます。

さらに、たまにしか発生したり必要とされたりしないが重要で経験での伝承が難しい仕事内容やノウハウなどを保存し、検索機能をつけて必要なときにすぐに他の人も取り出せるよう「ストック」するのです。これが整備されるだけでも、仕事のブラックボックス化はかなり防げます。

しかし、時代の変化が激しい現在、過去の仕事の事実や成功事例が今の仕事に必ずしもそのまま参考になるわけではありません。そのような場合には、「今、困っていること」をその場で発信し、さまざまなアイデアや、実際に取り組んでいる対策などを瞬時に共有し、解決していくというやり方が求められます。それが、「フロー型」の情報共有なのです。

例えば、営業が顧客から今までとは違う種類の要望を受けた場合など、過去のストックされた情報をいくら検索しても的確な対応方法は見つかりません。そのようなときには、まず担当の営業がその事実を発信するのです。

もしかすると、同じ要望で困っている営業がいることを発見でき、情報交換をして対応策を見つけられるかもしれません。また、本部や関連部署も同時にその情報を見て、その要望が会社の今後に役立つものであれば、すぐに新商品や新サービスの開発につなげるのです。

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