若手が上司に「助言」受け入れられない組織の末路 現場を「末端」と見る企業、「先端」と見る企業の差

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では、平時から危機感を持ち、自己変革を起こすには何が必要でしょうか。その答えは、「先と外」にあります。言い換えれば、「先のこと(将来の変化)」、「外のこと(外部の変化)」をいかに「自分事」として捉えられるかにかかっています。将来(時間軸)と外部(市場)の変化に対して、いかにアンテナを張って敏感になれるかがカギを握ります。

タコツボ体質の「断絶」をどう乗り越えるか

「日本的な組織」が、自己変革できるようになるには、平時から「先と外」に危機感を持つこと、すなわち、将来の変化を予測できる洞察力(先を読む力)、そして、外部で起こる変化を客観視できる観察力(外を見る力)が必要です。

一方で、元来組織は保守的で、既存のものを守ろうとする自己防衛の意識が自然に働くため、過去や現状を否定しかねない変革には不安が先行し、抵抗感から隔たりが生まれやすいのも事実です。

将来の道筋が見えない”先”への不安、”外”からの期待と内側の論理との間に生まれる隔たり、組織”内”の立場の違いからくる利害の隔たりなど、変革を進めるほどに、「先、外、内」のあらゆる局面で「断絶(へだたり)」が生まれます。

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実は、ここにこそ「内向きなタコツボ」体質の日本的な組織が、変化しにくいことの原因があります。自らの領域を守るために、変化に対して保守的になり、周囲とのつながりを絶ってしまいがちになる、いわばタコツボ体質が、”断絶”を生み出すのです。

つまり日本のあらゆる組織は、長年にわたって変革の必要性を声高に掲げつつも、「内向きなタコツボ体質」であるが故に強固になる「断絶」を乗り越えることができず、変革は成果が未達成のまま頓挫してしまうことが多いのです。

では、「日本的な組織」が、「断絶」を乗り越えて自己変革するには何が必要でしょうか。

そこには、自らが平時から危機感を持ち、変革を起こし、さらに持続させるための仕掛け(メカニズム)が必要です。具体的には、将来(先)や外部(外)の変化に対して、組織が、断絶することなく変革に結びつけられる”つながり”を作る仕掛けが重要です。

「日本的な組織」に、断絶を乗り越える”つながり(連鎖)”を作るメカニズムが、自己変革の原動力になってゆくのです。

松江 英夫 デロイト トーマツ グループ執行役

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まつえ ひでお / Hideo Matsue

1971年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。デロイト トーマツ グループ執行役。中央大学ビジネススクール、事業構想大学院大学客員教授。経済同友会幹事、政府の研究会委員、テレビの報道番組コメンテーター等、産学官メディアで豊富な経験を持つ。経営戦略、組織変革を専門とし、著書に『自己変革の経営戦略』などがある。

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