水際対策緩和で「夏にインフル流行」3つの理由 入ってくるのは「人、お金、コロナ」だけじゃない

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例えば、麻疹(はしか)だ。2022年1~2月の世界の患者数は、2021年の同じ時期と比べて79%も増加した。新型コロナによる予防接種の停滞が大きく影響している。WHOとユニセフは、「破滅的な事態」の条件が揃った、と警告している。

実際に今、インフルエンザも再び動きが活発になっている。この時期、本格的な冬を迎える南半球だ。

南米やオーストラリアで「流行が前倒し」

南半球は、今ちょうど北半球でいう12月に入ったばかりの季節感で、もともとインフルエンザのシーズンでもある。

とはいえ日本同様、南半球でも2020・2021年の2季にわたって、ほとんどの地域でインフル流行は見られなかった。

それが今季は、ちょっと様子が違うようだ。

南米チリとアルゼンチンでは、想定より早く流行が始まり、5月半ば時点の患者数は例年の同時期の水準を上回っている。

WHOの最新報告によれば、流行しているのは主にA香港型(H3N2)だ。特にアルゼンチンは、例年の同時期に比べて患者数が大幅に高止まりしており、B型も検出されている。

コロナ以前なら、毎年3~4月から徐々に患者が増えて5月に流行レベルに達し、6~7月に急増していた。今年は現時点ですでに減少傾向にあって、ピークを過ぎた可能性もある。

同じ南半球のオーストラリアでも、流行時期が前倒しになっている。

オーストラリアは例年、南米よりもインフルエンザ流行の立ち上がりが遅く、5~6月に患者が緩やかに増え始め、7~8月に急増する。2020・2021年にはやはり流行がなかった。ところが今年は、4月後半から患者が増えはじめ、5月には患者が急増した。

ある州では、新型コロナとインフル増加のダブルパンチで救急医療が逼迫、ツイッターで急を要さない患者の受診控えを呼び掛けるという、異例の事態となっている。

別の州では、インフルエンザA型の増え方が1週間ごとに倍々に加速している。これを受けて州保健当局は、全住民にインフルワクチン接種の無償提供を決定した

懸念材料は、南半球での流行だけではない。インドや東南アジアなど、アジアの熱帯~亜熱帯地域では、そもそもインフルエンザに季節性がなく、一年を通して流行を繰り返している。

このところは落ち着いているようだが、WHOの記録では、バングラデシュでは2020年後半にA香港型、2021年初夏からB型が流行した。インドでも、2021年夏にA香港型の流行が見られた。いずれも、新型コロナとの同時流行だ。

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