電子制御は完全「シロ」 北米に復活託すトヨタ
2月8日(日本時間9日未明)、米運輸省は、トヨタ車の急加速問題に関する調査結果を発表した。最大の焦点だった電子制御システムについて、「急加速を引き起こす欠陥はなかった」と判定。米航空宇宙局(NASA)まで動員した。10カ月にわたる調査の結果は、完全な「シロ」だった。
トヨタ自動車側は一貫して、「電子制御が暴走の原因となった」との見方を否定してきた。米国での民事訴訟はまだ山積みの状態だが、品質問題の核心だった電子制御問題はひとまず収束した。
これを好感し、3500円前後で推移していたトヨタ株は上昇、4000円台を試す展開になっている。2010年1月、トヨタはアクセルペダルの欠陥を理由として、主力車種「カムリ」など計230万台を米国市場でリコール。4000円台だったトヨタの株価は大きく崩れた。その水準への復帰が実現すれば、株式市場における品質問題の“幕引き”と見なせる。
とはいえ、足元の業績は振るわない。米当局の発表に先立ち、日本時間8日午後には11年3月期業績予想の上方修正を発表。新興国での販売増がバネになったが、営業利益率は日産自動車やホンダに大きく見劣りする。10~12月期には990億円の営業利益を上げたものの、金融事業を除いた自動車事業は営業赤字。特にエコカー補助金打ち切りと円高のダブルパンチを食らい、国内が1224億円もの営業赤字を計上、全体の足を引っ張った。
トヨタ単体は09年3月期から営業赤字を続けている。今期は通期で4200億円まで拡大する見通しだ。その根っこには、国内から米国への輸出で稼ぐビジネスモデルの機能不全がある。
北米こそ復活のカギ
北米市場はトヨタにとって文字どおりのドル箱だったが、リーマンショックで状況は一変。品質問題でさらに事態は悪化した。前期には金融を除く自動車事業で、北米市場は営業赤字。今期も10~12月に、「わずかだが黒字に転じた」(佐々木卓夫常務役員)ものの、期初からのトータルでは赤字である。今や完全にアジアや中東・中南米など、新興国に依存した収益構造になってしまった。
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