地元客も乗る「丹鉄」観光列車のサービス戦略 特別デザインの列車開発、アテンダントも乗務

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「丹後あおまつ号」(左)は特別料金不要で乗車可能。特別料金が必要な「丹後くろまつ号」(右)と何が違うのか(筆者撮影)

京都丹後鉄道は低料金のカフェ列車「丹後あかまつ号」、高級レストラン列車「丹後くろまつ号」、そして「丹後あおまつ号」という3つの観光列車を運行している。

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丹後あおまつ号の最大の特徴は、特別料金不要の普通列車に工業デザイナー・水戸岡鋭治氏が手がけた専用車両が用意され、アテンダントも乗務していることだ。第3セクター鉄道の特別料金不要の普通列車でアテンダントが乗務して車内販売を行う例は、青い森鉄道や秋田内陸縦貫鉄道などの一部で見られるが、これらには専用車両や列車名は存在しない。

由利高原鉄道は「まごころ列車」にアテンダントが乗務しているので、サービスが受けられる列車を判別できるが、専用車両ではない。富士急行は快速「富士登山電車」(現在休止中)にアテンダントが乗務していたが、乗車整理券が必要な有料観光列車だった。くま川鉄道は、一部有料の観光列車「田園シンフォニー」にてアテンダントによるサービスが行われていたが2020年3月に終了し、その後、2020年7月の豪雨により一部区間が不通になっている。観光用の専用車両はそのほとんどが有料観光列車となるため、丹鉄の料金不要列車に愛称を付け、アテンダントによる車内販売を行うというのは、かなり珍しいサービスだ。

「吊り革」がある観光列車

丹後あおまつ号に乗ってみた。観光列車だが、一般客も日常的に乗車するため、車内の一部につり革があるのは面白い。

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水戸岡デザインの基本形として、地元の特産品を展示する棚もある。観光列車らしく、洗面所はきれいに整備されており、ペーパータオルも設置されている。トイレの中にも水戸岡氏の絵が飾られていて、退屈しない。

座席は向かい合わせと窓向きがある。向かい合わせの席には大きく展開できるテーブルがあり、観光需要に配慮されている。側窓は旧国鉄急行型のグリーン車のようで、懐かしいデザインだった。座席の一部は完全な木製で、おしゃれだけど、座り心地はやや固め。窓向き座席の一部には、足元にマットがあるのは贅沢である。

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