地元客も乗る「丹鉄」観光列車のサービス戦略 特別デザインの列車開発、アテンダントも乗務
丹鉄の広報担当者に、日常の利用状況を聞くと「丹後あおまつ号は普通列車ということもあり、車内販売は沿線のお客様からの利用が多いです」とのこと。車内販売のメニューはコーヒーが「ホット、アイス、カフェオレ」、紅茶が「ホット、アイス」、アイスティーは有機栽培茶葉とこだわりがある。アップルジュース、ミネラルウォーター、プレミアムモルツもあり、計8種類と結構充実している。
地元の利用者はお土産は買わないので、コーヒーやジュースなど、飲料類の購入が多いらしい。10代の乗客もたまに利用し、常連客もいるという。
デザート類は「丹鉄うさくまケーキ」「塩バターサンド」など、6種類あり、喫茶店のようである。お土産ものは「クリアファイル」「革キーホルダー」「手ぬぐいハンカチ」などの小物や、長持ちする「丹鉄クッキー」、車内販売と同じ「丹鉄珈琲」など27種類もある。
広報担当者によると「アテンダントが乗務している場合は、平日でも車内販売を実施している」とのことで、人件費などの問題はあるのだろうが、その語り口からは潜在的な需要を拾い上げる、きめ細かな姿勢を感じた。
旅行客については「移動目的でご乗車いただいた際に、車両のデザインやアテンダントの存在により、観光列車だと認識してもらえる」ケースがときどき見られるという。
専用車両の導入が「観光列車で珍しい体験だから、記念にグッズや飲料などを買おう」という需要開拓に結びついているということだろう。沿線の風景案内の放送もしているとのことである。こうしたサービスはリピーター開拓にも結びついており「北海道から来たお客様に数年ぶりに声をかけていただいた」事例もあるとのこと。
また、沿線の業者に駅弁を予約すれば、宮津駅、天橋立駅で駅弁を受け取ることができる。こうしたサービスも「特別な時間を過ごした」体験を補強するだろう。
他社にも配慮した施策に注目
丹鉄は高速バス大手のウィラーグループにより運営されているが、高速バスのITマーケティングシステムのノウハウは、顧客データの活用や移動に付加価値を付ける商品開発やサービスづくりといった点で鉄道運営にも活用されているという。
沿線活性化という視点から、京都丹後鉄道全区間の普通列車、快速列車、特急自由席に加え、京都交通・丹後海陸交通の路線バスや、天橋立―一の宮間の観光船にも乗車できるフリーパスの販売も開始した。価格は1日用が2200円、2日用が3000円である。JR山陰本線利用で、京都・二条・亀岡―福知山・西舞鶴・東舞鶴の区間を含む片道の普通乗車券と特急券を窓口で提示するなどの条件を満たすと、2000円近く割安となる特別価格で購入することもできる。
大手バス会社というこれまでにない視点を持つ、京都丹後鉄道。これからの施策にも注目していきたい。
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