茨城県の名物は「工場立地」という意外な真実
茨城県の名物が、“筑波山とワラに包まれた水戸納豆”だけだと思っていたら大間違いを犯すことになる。
茨城県を中核とする北関東が今や工場立地では日本一のスポットになっている。2000~09年の10年間の工場立地面積累計で、茨城県は1200ヘクタール(ha)と断トツである。
以下、工場立地のベスト5を並べると、静岡県959ha、愛知県948ha、群馬県856ha、兵庫県750haということになる。茨城県がナンバーワンの工場立地であることは、意外な事実である。
最近、茨城県に新規に立地した企業を見ても、日野自動車、メルセデス・ベンツ、コマツ、日立建機、アシックス、雪印、伊藤ハムと多彩だ。はてさて、企業はなぜ茨城県に工場を持っていくのか。
首都圏市場と世界市場を両にらみで工場進出
茨城県は、国内マーケットをにらめば、巨大な首都圏市場に近接している。これはともあれ地政学からいって大きなアドバンテージだ。
しかも労働力人口があり、日立グループなどを基軸とした産業基盤の蓄積がある。工場用地となる平地も豊富で、しかも地価が安い。東京への通勤圏である神奈川、千葉、埼玉に比べれば、地価はウソのように安い。
そのうえ、物流を支えるインフラが整備されている。東北、常磐の両自動車道、特に常磐は渋滞がないことで知られる。最近では、その両自動車道を横断する北関東、首都圏中央連絡の自動車道が貫通されようとしている。タテ、ヨコに自動車道が交錯し、物流は万全だ。
港湾も茨城港(日立港・常陸那珂港・大洗港)、鹿島港がある。中国などのアジアを含めた世界市場への製品物流を考えれば、これらの港湾インフラが大きな武器になる。首都圏市場だけでなく、世界市場をにらんで工場立地できる利点がある。
そんなこんなで茨城県の有効求人倍率もプラスで推移している、というのだから、さらに“意外な話”ということになる。