税理士が「自分の父の相続」をやって実感した困難 不良債権化した「裏山」の売却には5年かかった
そこでまず、「税理士の意見」として、
「自宅の裏山が、不良資産になっている」
「うちは、現預金よりも土地のほうが多いから、資産の組み換えをしたほうがいい」
ことを指摘しました。
裏山を売却するまでの道のり
活用していない不動産を売却して現金化する、不動産を売却した資金で賃貸物件を購入するなど、高い収益を生むように転換すること。
自宅の裏山は、約1ヘクタール(1ヘクタールは、100m×100mの広さ)。収益性はなく、固定資産税だけがかかっていた状態です。「ほったらかし」にはできないため、草刈りもしなければなりません。1ヘクタールの山林を維持管理するのは、時間とお金がかかります。
利用価値があるのなら、保有することにも意義はあります。ですが、ただ持っているだけでは資産ではなく、負債です。利用価値がなくても評価額はつくため、裏山を相続するときに相続税が課せられます。父も当然、
「裏山には、農地や宅地としての利用価値はない」
「この裏山の相続には、相続税がかかる」
ことは理解していたはずです。しかし父はこの土地を残すことにこだわりました。父がこの土地にこだわったのは、
「代々受け継いできたものを、自分の代で手放すことはできない」
「売ってしまったら、土地を残すことができない」
という心情的、感情的な理由からでした。
父の気持ちの整理をしなければ、裏山の整理をすることはできません。折を見ながら父に根気強く、説明を続けていきました。
結果、父が「裏山を整理すること」に納得するまでに3年を要しました。裏山を整理するまでさらに2年、結局、裏山の売却には、「約5年」の歳月が必要でした。
何も収益を生まない土地でもこれだけ時間がかかるのです。普段からお客様に対して、相続・相続税対策を早くはじめる必要性をご説明していますが、自分の父の相続で、そのことをあらためて実感しました。
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