人口動態で需要が減少、民間が工夫するしかない--藻谷浩介・日本政策投資銀行参事役《デフレ完全解明・インタビュー第5回(全12回)》

--人口減少の下で需要を増やすことは可能ですか。

若い人の賃金を上げること、女性の雇用を増やすこと、外国人観光客を増やすこと。民間企業が工夫して、この三つをぜひ実行するべきだ。高齢者は貯蓄があっても消費しないが、若い人や女性は所得が増えれば、着実に消費する。待機児童を早く解消することは最優先事項だ。女性が働けば消費も拡大するし、出生率も上がることはデータから明らかだ。

--政府が新しい産業を作るべきだという議論がありますね。

税収の2倍以上を使っている政府にこれ以上の努力を求める前に、民間企業こそ自らが生産年齢人口減少に対応する努力をすべきだ。過当競争が生じているのは政府の規制のせいではない。若い人の賃金を上げたり、女性を雇用し登用するかどうかもすべて、企業の問題だ。マクロ経済学の前提どおり、企業が営利を求めて合理的に行動して初めて、モデルもワークする。逆にいえば、消費者減少時代にも儲けられる方向に各企業や個人が転換しないかぎり、マクロ経済学のモデルは復活しない。

■デフレを理解するための推薦図書■
「平成22年国勢調査」 総務省、2011年2月人口速報集計以降、順次結果公表
「商業統計調査」 (経済産業省)の小売販売額・地域別
「国際収支状況」 (財務省、毎月発表)の国別

もたに・こうすけ
1964年生まれ。88年東京大学法学部卒、日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)入行。コロンビア大学でMBA取得。平成合併前の約3200市町村の99.9%、海外59カ国を回り、現地取材とデータに基づき分析。2010年『デフレの正体』が20万部のベストセラーに。
撮影:今井康一

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