バフェットが「投資先はアメリカが一番」と推す訳 投資の神様が語った「買うか買わないか」の裏側

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ルーベンシュタイン:世界金融危機では、みな財政面で苦労を強いられました。どうにか財政支援を仰ごうと、ゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリカ、ゼネラル・エレクトリックなど、多くの人たちがあなたのもとにやって来ました。成立させた取引は、どれもうまくいっているのでしょうか?

バフェット:断った企業ももちろんあったよ。だが今挙げてもらった企業はうまくいっている。どの会社も金融危機に大きな打撃を受けてはいなかったからね。世間は突然、彼らがドミノ倒しにものすごく近い場所にいるんじゃないかと思い始めたんだ。ドミノは次々に倒れたが、彼らはそのまま立っていたよ。

ルーベンシュタイン:私たちはここしばらく、不況から遠ざかっています。この7年ほどは不景気という言葉は耳にしませんでした。ですが、好不況の波は平均して7年周期で巡ってきます。だからと言って必ず7年ごとに不況が訪れるわけでもありませんが、この先数年間の経済成長には、明るい見通しがあるとお考えですか? 経済状況に対するあなたの見通しはどのようなものでしょう? (このインタビューは、2020年に新型コロナウイルス感染症が世界に蔓延し、経済が低迷し始めるその4年ほど前に行
われたものである)。

アメリカほど投資に適した国はない理由

バフェット:今日アメリカで生まれている乳児ほど恵まれた世代は他にない。アメリカ経済はこの先活況を呈し、世界全体としても経済は好調を維持するだろう。もちろん明日になれば、あるいは来月、来年になれば、何が起こるか誰にも分からない。今私に分かるのは、この先10年、12年、あるいは30年先まで、アメリカで暮らす人々の生活はより豊かになるだろうということだ。

ルーベンシュタイン:もしどこか他の国に生まれていたら、今ほどの幸運には恵まれなかったかもしれないとあなたはよくおっしゃいますが、依然として、アメリカほど投資に適した国はないとお考えですか?

バフェット:私が知っている国のなかではアメリカが一番だ。しかも素晴らしい。1776年の独立宣言以来、誰もアメリカを軽視せず、その後に生じた物事も自分たちで受け入れてきたからね。

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ルーベンシュタイン:ここ数年の経済成長率はおよそ2パーセント、もしくはそれを切るくらいです。

現在のような経済状況下で、3パーセント、4パーセント、あるいは5パーセントの成長は可能だと思われますか?

バフェット:数年はかかるだろうが可能だろう。人口増加率が1パーセント以内なら、成長率を2パーセント引き上げるのに約1世代、すなわち25年間で、国民ひとり当たりのGDPを1万8000ドルから1万9000ドル、4人家族であれば7万5000ドルアップさせる必要がある。

アメリカがすでに好況を迎え―――アメリカのみならず、世界全体がかつてないほどの好況を迎え―――そしてそれが長い間続いていけば、人々はそれまでよりも数段良い生活を送るだろう。

前回:ティム・クックが語ったジョブズから誘われた日(5月19日配信)

デイヴィッド・M・ルーベンシュタイン カーライル・グループ共同創設者兼共同会長

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David M. Rubenstein.

ボルチモア出身。1970年にデューク大学をスンマ・クム・ラウデという優秀な成績で卒業し、全米で最優秀の学生から成る組織、ファイ・ベータ・カッパに選出されている。
デューク卒業後はシカゴ大学ロースクールへ進み、1973年に卒業した。1987年にカーライルを共同設立する前は、ニューヨークとワシントンで弁護士業を営み、カーター政権下では国内政策における大統領の副補佐官を務めている。

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