4630万円誤送金騒動がこんなにもややこしい理由 急転直下の逮捕でも消えない4つのモヤモヤ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ただ、メディアに登場する阿武町はのどかな田舎町であり、地元の人々がことごとく「いい人」だったことが2つ目のモヤモヤにつながりました。「『返す』という言葉を信じてだまされたのだから責めるのはかわいそうだな」「自分たちにも非はあるにしても、もっと怒ってほしい」などの異なる感情が頭をよぎってしまうのです。

さらに田口容疑者の素性が明らかになるたびに、人々は複雑な心境になっていきました。田口容疑者は、わずか1年半前に「空き家バンク制度」を利用して阿武町に引っ越してきた移住者だったことが明らかになったのです。

つまり、「地域からの支援を受けていたにもかかわらず、恩を仇で返すような振る舞いをした」ということ。4630万円という大金を返金しないことと、恩を仇で返したことのどちらの罪が重いのか。“お金”と“人情”というまったく別のものにかかわる罪の大きさが整理しづらく、モヤモヤしてしまうのです。

その後、田口容疑者の名前がまだ明かされていないころは、批判や犯人捜しをするだけで、さほどのモヤモヤは感じなかったのではないでしょうか。ところが、お金の使途が発覚し、それがオンラインカジノと報じられ、さらに預金口座の出入金履歴が明かされたことで、3つ目のモヤモヤが発生してしまいました。

マネーロンダリングなどの疑いも

「『オンラインカジノで全額使った』は本当なのか」「出入金履歴にはギャンブル特有の勝ったり負けたりがなく、『ずっと負け続けている』は不自然ではないか」「そもそも金をプールしているだけで、賭けてすらいないのではないか」「オンラインカジノ経由で別の場所に移したり、暗号資産にしたりなど、マネーロンダリングの可能性はないのか」などの疑念が浮かんでしまうのです。もちろん「ただギャンブルにハマって負け続けた」という可能性もありますが、あまりにあやしいところが多すぎるということでしょう。

次ページ「少しずつでも返していきたい」もモヤモヤに
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事