東京・銀座を歩けば、グローバル展開するアパレルメーカーが大型店舗を構え良質なTシャツを千円程度で販売する一方、すぐ近くのラグジュアリーブランド店のTシャツには5万円ほどの値札がついている。ビジネスパーソンにとって「ラグジュアリー」は自分とは関係のない、馴染みや手触り感のないものかもしれない。多くの日本企業が、自社の製品とサービスに見合う価格設定をできないことに悩む中で、5万円のTシャツを売るビジネスは魔法のように見えることだろう。
本書はラグジュアリーを起点として、ラグジュアリーという現象の変遷の歴史から、新しい顧客であるミレニアル世代やZ世代の消費行動の変化まで広範に記している。著者はイタリアに長く在住し欧州企業に通じた安西洋之氏と、ファッション史の著書が多くある中野香織氏である。また、著者の2人とユナイテッドアローズ上級顧問、栗野宏文氏の鼎談も掲載されている。
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