料理研究家が「むりなく、むだなく、きげんよく」日々の生活について綴(つづ)る。そう聞くと「経済とは関係のない本である」と考えてしまう読者がほとんどではないだろうか。否。本書はまさに経済についての本なのである。
そもそも「エコノミー」の語源は「家政術」。説明するまでもなくご存じの読者も多いだろう。さらに補足しておけば、「なるべく無理・無駄のないように行動し、機嫌よくなろうとしている」というのは、経済学が想定する(おおむね)合理的な個人、すなわち「経済人」という人間観にほかならない(もちろん、ここでは昨今注目を集める行動経済学も含めて考えている)。
そのテーマ、そしてその思想からいって、ある意味では、本書はエッセイ集である以上に、紛れもない経済書なのである。
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