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超一級史料が明かす、「人間」としての昭和天皇 戦前的なるものへの郷愁、徹底した反共主義

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昭和天皇拝謁記2 初代宮内庁長官 田島道治の記録 昭和二五年一〇月〜二六年一〇月(田島道治 著/古川隆久、茶谷誠一、冨永 望、瀬畑 源、河西秀哉、舟橋正真 編/NHK 協力/岩波書店/3300円/291ページ)

私は日本政治を歴史的に分析することをなりわいにしているので、文庫・新書・論文を除けば専門書を手に取ることが多い。それらはたいてい高額で、中でも史料は図抜けている。例えば、2019年に刊行が始まった寺内正毅の関係文書の最新刊(2巻)が1万6500円といった具合である。と、こんな話から始めたのは、この史料がいかに手に取りやすいものかを理解してもらうためだ。

昭和天皇の言葉を記す超一級史料

本書は、戦後に宮内庁長官を務めた田島道治が昭和天皇に拝謁(面会)した際の問答の記録である。田島が文書を残していることは、評論家・加藤恭子氏の一連の著作をとおして知られていたが、用いられた日記などの史料には昭和天皇の言葉はほとんど記録されていなかった。

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