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権力の象徴で歴史の駆動力、時計は世界を変えた 日時計からスマートウォッチまで、12の時計

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世界を変えた12の時計 時間と人間の1万年史(デイヴィッド・ルーニー 著、東郷えりか 訳/河出書房新社/2970円/294ページ)

大学時代、上海出身の留学生から、中国は全土で同じ標準時を使っていると聞かされて驚いた記憶がある。それでは西の方の住民は不便ではないのかと聞くと、すました顔で「そっちの方には人は住んでいないから大丈夫です」と返されてあ然とした。

なぜこんな不合理な制度を採用しているのかという評者の三十年来の疑問は、本書を読んで氷解した。

中国における時間の在り方

かつて中国は5つのタイムゾーンに分けられていたという。しかし1949年、毛沢東は政権を握るや否やこれを廃止し、全土で北京時間を用いるよう定めたのだ。今後は中国全土の時間を中央政府が統一的に支配する、という宣言であったわけだ(とはいえ新疆ウイグル自治区付近では、正午近くになってようやく日が昇るようなことになってしまうため、非公式に「新疆時間」が使われていると聞く)。

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