本書は、イスラエルの社会学者、オルナ・ドーナトが2008〜13年に行ったインタビュー調査が下敷きとなっている。彼女は「親になりたくない」という願望を抱くイスラエル人の男女に関する調査の後、この「母になったことを後悔する女性たち」の研究を開始したという。
著者の問題関心は、母になった女性たちが多様な葛藤を抱いていながらも、その表明が社会的に許されないという現状に依拠している。母であることへの後悔は、現代社会において根深いタブーである。その言葉から私たちが想起するのは、ネグレクトや虐待など、親としての適格性や母親自身の責任能力に疑義を生じさせる事象だからだ。
母であることが至上の価値という重荷
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