「センスがいい人」は色の使い方にひと工夫がある 「色の教養」を身につければ仕事でも役に立つ

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選んだ色に「意味」を持たせ、背景の「ものがたり」を訴求する

しかしどんなに気合いを入れて念入りに色を選定しても、万人の好みに合う色など見つかるはずがない。解決策のひとつとして有効なのは、選んだ色に明確な「意味」を持たせ、その色が持つバックグラウンドも含めてクライアントに訴求することだ。

具体例を見てみよう。

・くすみピンク=英語圏の伝統色名「オールドローズ」

女性のファッションカラーとして人気がある「くすみカラー」のピンクは、英語でオールドローズと呼ぶ。ヴィクトリア期のイギリスで人気を博した色であり、ここでのオールドは「古い」という意味でなく、「くすみのある」という意味だ。

英語では、くすんだ色の形容詞としてオールドのほかにアンティークを用いることもある。くすみピンクというありきたりなカラーネームよりも、オールドローズまたはアンティークローズとするほうが、はるかに訴求力が高くなるはずだ。

色相・明度・彩度が多少異なる場合も同様の色名で呼ぶことがある
・神秘性を訴求できる「ラピスラズリ」という色名

この色を単に「濃い青」と言ってしまえば、それもそうだが、パワーストーンとしても名高いラピスラズリは、古くから宝石としてだけでなく、顔料としても使われてきた。一部の人々の間では「ラピス」と略して呼ばれるほど、浸透している色名でもある。神秘性やロマンを感じさせるのが、この色名の特徴と言える。

ラピスラズリを細かく砕いて作った顔料は、海を越えてきた青という意味の「ウルトラマリンブルー」と呼ばれ、画家フェルメールが愛用した色としても知られる
次ページ色が生まれた場所の文化や歴史を学ぶことにつながる
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