地デジ化後には「スマートテレビ」革命が加速する!《特集・テレビ新世紀》
「家電の王様」とも呼ばれるテレビが、大地殻変動に揺さぶられている。
テレビと一口に言っても、大きく分けて三つの要素がある。「受像機」「映像コンテンツ」、そしてそれを視聴者へ届ける「流通」だ。これまでは、受像機を家電メーカーが製造し、コンテンツ制作と流通(放送)は国から免許を受けたNHK、民放テレビ局が担ってきた。
この二つの業界がそれぞれ、これまでにない変化の時を迎える。2000年ごろから言われてきた「放送と通信の融合」が、「実証実験段階」を終え、既存のビジネスモデルを引っくり返すインパクトを持った「普及段階」に入ったのだ。
まず、受像機を襲うショックは、販売台数の急減だ。10年は、後半にエコポイント改定前の駆け込みで需要が急増。しかし、今年は市場規模が半減するとの見方もある。世界市場を見渡すと、サムスン電子などの韓国勢だけでなく、中国ブランドの製品も躍進。価格下落により、ほとんどの日本メーカーのテレビ事業は連続赤字に沈んでいる。
そうした中で、ネットと接続し、コンピュータ化したテレビ「スマートテレビ」が急増。グーグル、アップルなど米シリコンバレー企業がプラットフォームの世界標準を握ろうと虎視眈々と商機を探る。前門には米IT企業が控え、後門からはそうした米ITと積極的に組む韓国勢、中国勢が迫る。そのすき間にはまった日本メーカーのレゾンデートル(存在理由)が問われる局面だ。
チャンネル増などは業界内競争にすぎない
コンテンツと流通を押さえるテレビ局の地殻変動も深刻だ。今年は地デジ完全移行に伴う業界内の変動がある。BSの多チャンネル化、さらに空き地になるVHF電波帯を活用した携帯端末向けマルチメディア放送が、テレビ業界の言うところの「メディアの多様化」だ。