時速6km「歩道通行車モード」は安全な速さか? 「電動キックボード」新規定への期待と不安

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こうした他の交通との速度差の関係性は自転車でも同じだが、自転車の場合、乗用車などと同じ法定速度内で走行が可能なため、電動キックボード(既存)で走っていると電動アシスト自転車等に追い抜かれることもある。

また、市街地の車道の左側は路面の凹凸がある場合も多く、こうした状況での路面からの突き上げに対しては、身体全体を使って身体に伝わる衝撃をコントロールしやすい自転車や自動2輪車のほうが走行安定性で優れていると感じることも少なくない。

しかし、もっとも気を遣うのは、“完全停止するとき”だ。

慣れてくれば、じんわりとブレーキをかけて、完全停止の少し前に右足または左足だけを路面に下ろして車両を安定させることができるようになるが、慣れない人は完全停止前に車体が倒れることを気にして、両足を使って飛び降りる動きを見ることがある。

停止するとき“どのように足を下ろすか”がもっとも気を遣う(写真:maroke / PIXTA)

ちなみに、電動キックボード(小型低速車)のブレーキについて、保安基準骨子案では「独立して作用する2系統」かつ最高速度からの制動距離を5m以内、片方のブレーキのみでは11.5m以内と提示されている。

「歩道通行車モード」とは何か?

世間の注目度が高い電動キックボード(小型低速車)の特徴は、「歩道通行車モード」であろう。

電動キックボード(小型低速車)は、車道のほか、普通自転車専用通行帯、自転車道に加えて路側帯や歩道での通行が可能になるため、歩道走行とそのほかの場合とで、外部から見て走行モードが識別できる工夫が施される。

具体的には、保安基準骨子案では、車体の前後に日中、車体の前方と後方それぞれ25m先から識別できる点滅灯火の設置を義務付け、電動キックボード(小型低速車)として通常走行する場合は水色の灯火、歩道通行車モードの場合は緑色の灯火と、色を変えて識別。これらは点滅の周期も変えることになるという。

また、「スピードリミッターの保安基準について」の中で「運転者による最高速度の設定変更を前提とする小型低速車の要件」として、「最高速度が時速6km以下(歩道通行車モード)に変更される場合、これと連動して、識別点滅灯火が自動で切り替わるものであること」という記載がある。

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