広瀬すず「中途半端でやめたくない」でやってきた 街中華のラーメンも我慢して役作りに挑んだ

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ただ、李監督のことは、映画監督としても人としてもすごく信頼しています。今回は私にまかせてくださるシーンが多かったのですが、少しでもウソをついたりごまかそうとすると、すぐに見透かされてしまうんです。ピンポイントで的確な指示をされました。「もっと肌感覚で、滞りがなく演じてほしい」という言葉を何度も言われたのが印象的でした。

李監督に見透かされると、いままでの作品で経験してきたことがゼロになるというか、初心に引き戻されるというか。俳優として成長できたと感じられる現場でもありました。

©2022「流浪の月」製作委員会

――前回と今回で、ご自身の芝居に対する違いは感じましたか。

『怒り』のときは、お芝居に対してフワフワとした感情を持っていたんです。演じる役に対して感情がわいてこないというか、感情を深く考えずにお芝居をしてしまう面があったというか。絶対によくないなとわかっていたのですが、自分でもどうしたらいいのかわからなかったんです。それは今でもお芝居をするときに「怖い」と思う部分で、今回は事前に、「人の感情にふれられなくなったかもしれません」と、伝えました。

李監督の期待に応えたかったのですが、今回は「(このシーン)どうするんだよ」と怒られることもたびたびあって。フワフワとした感覚を、壊していただけた気がします。

自分を押し殺して生きていく役を演じて

――本作で演じた、家内更紗(かない・さらさ)についてのお話も。更紗をどんな女性と捉えましたか。

更紗はかつて世間を騒がせた、大学生による女児誘拐事件の当事者です。大人になってからも誘拐されたという他者からの過去の固定観念に取り囲まれていて、自分を押し殺して生きていく人。その環境になじもうとする女性でもあります。なので、彼女は「こういう人間だ」とは決めずに私は現場に入っていました。

ただ彼女が、家族と佐伯文(さえき・ふみ。誘拐犯として逮捕された。演:松坂桃李さん)に対してだけは強い思いを持っているという部分は忘れずにいました。あとは、他人と話を合わせてよく笑う生き方をする人で、笑っているようでまったく笑っていない人物像ということも、意識していました。

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