ロシアの軍事行動によって欧州各国の警戒モードは最大級に。ドイツ、ポーランド、フィンランド、バルト3カ国は、対ロ外交を見直し、国防費の積み増しに動いている。
「自由と民主主義を守るために、わが国の安全保障にもっと資金を投じなければならない」。ドイツのショルツ首相はロシアによるウクライナ侵攻の3日後である2月27日、国防費を2024年までに国内総生産(GDP)比2%に引き上げると独連邦議会で宣言した。
ドイツの国防費はGDP比で1.5%程度で、ほかのNATO加盟国などから引き上げを求められていた。第2次世界大戦、とりわけ独ソ戦で多数の戦死者を出したため旧ソ連時代から融和的な対ロ外交を続けてきたドイツにとって、大きな転換点になる。
ロシアと距離を置き始めたドイツ
首相の議会演説の前日には、独政府はウクライナに携帯型地対空ミサイルなどを供与すると発表した。それまでドイツは「紛争地に武器を送らない」として、ウクライナへの武器供与を拒否してきたが、その方針を変えた。さらに4月下旬、重火器である対空戦車の供与も決めた。攻撃的な武器についてはロシアを刺激しないように慎重な姿勢を取ってきたが、いっそう踏み込んだ。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待