日中間の問題の7割は誤解、理解不足に基づく--『これから、中国とどう付き合うか』を書いた宮本雄二氏(前駐中国大使)に聞く


──やはり外交が重要です。

国連代表部にも3年ほどいた経験がある。外交官として優れていたのはイギリスだった。続いてフランス。インド、シンガポールもよかった。冷戦時代のロシア、アメリカには、あまり感心する外交官はいなかった。大国は国の力が強いので、外交に頼らなくても自分の力を通すことができる。そうでないところは(総合力としての)外交力でやろうとする。日本の国力が相対的に下がるとともに、日本の外交力を高めていく必要がある。

日本は中国にGDPで追いつかれ、パニックになっているが、イギリスを見よと言いたい。GDPでアメリカに追いつかれ、ドイツに追いつかれ、そして日本にも。それでも堂々と大国然とやっている。今度は中国に抜かれても、またかというだけの話にしかならない。

──中国はこのままいけるのでしょうか。

不確定要素が多くあり、10年先の展望は難しい。ただ、5~7年先あたりまでは見通せる。5~7年先までは、今の中国共産党はどうにか政権を維持し続けているだろう。共産党による経済を管理する能力は年々強くなっている。政府の関与が強い独特の中国式経済は、図体がでかい分、その潜在成長力を顕在化するだけで伸びていくから、高度で機微な対応をしなくても進んでいく可能性が大きい。ただし、同時に国内の諸問題も深刻の度を深めている。共産党の統治の能力が強化されるスピードと、事態の悪化のスピードとの競争になる。10年後にどちらが勝るか即断はできない。

(聞き手:塚田紀史 撮影:田所千代美 =週刊東洋経済2011年2月11日号)

みやもと・ゆうじ
1946年福岡県生まれ。京都大学法学部卒、外務省入省。アジア局中国課在籍、北京の大使館駐在ともに3回を数える。90~91年中国課長、2006~10年駐中国大使を務める。このほか外務大臣秘書官、米アトランタ総領事、軍縮・軍備管理担当審議官、駐ミャンマー大使、沖縄担当大使を歴任。

『これから、中国とどう付き合うか』
日本経済新聞出版社 1785円 317ページ

  

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