写真で振り返る東海道新幹線「のぞみ」30年の記録 運行前の試乗列車からN700Sまで「取材秘話」
300系登場の後も、高性能とコスト面のバランスを追求したさらなる超高速新幹線電車の開発が進められた。1995年に登場した試作電車955形は、300系に続く次世代の新幹線高速運転を実験するために製作した高速試験用電車である。通称は300Xで、1996年7月26日には米原―京都間でリニア以外では日本国内最速の時速443.0 kmを記録した。
一方、「のぞみ」を共同運行するJR西日本はそれより先に、高速試験車のWIN350(500系900番台)を1992年に開発した。この車両で得られた経験は1997年登場の500系に生かされ、山陽新幹線区間では営業最高時速300kmで走行し、当時のフランスのTGVと共に世界一の最高速度となった。
1997年には東海道・山陽新幹線の第4世代となる700系が誕生し、1999年から営業運転を開始し、独特な前面形状から「カモノハシ」と呼ばれ親しまれた。一方、先鋭的なデザインで人気を集めた500系は、JR東海が乗り入れにあたって車両変更などのトラブルに対応しやすいよう、車両当たりの定員を300系や700系と同じ車両とすることを強く要望したことから、2010年に東海道新幹線での運用を終えた。
23年ぶりの最高速度アップ
現在の主力であるN700系は2007年7月1日のダイヤ改正で運転を開始した。その後、技術の進化に合わせて改良を加えた「N700A」が2013年2月8日に登場し、現在は当初のN700系も同等の設備に改造されている。
2015年にはこの技術進化によって特筆すべき出来事があった。N700系が新幹線で初めて採用した車体傾斜システムにより曲線区間の通過速度を向上させ、3月14日のダイヤ改正から東海道新幹線の最高時速がそれまでの270kmから285kmへとアップしたのだ。これによって所要時間は3分短縮され、最も速い列車の所要時間は東京―新大阪間2時間22分となった。
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