1992年3月9日、早朝の東京駅。東海道新幹線14番線ホームには、真新しい300系電車の姿があった。3月14日の営業運転開始を控えて実施された公式試乗会列車だ。試乗列車の発車は、始発の「ひかり」よりも早い時刻の午前5時58分に設定されていた。それは300系「のぞみ」のスピードが「ひかり」の最高速度を時速50kmも上回る時速270kmに達し、始発列車に追いついてしまうためだ。
試乗列車に「新幹線生みの親」の姿
早朝のホームは招待客、報道陣でごった返していたが、筆者はその招待客の中に1人の白髪の老人の姿を見た。その老人はJR東海社長(当時)須田寛氏の案内で12号車グリーン車に座った。
この人こそが新幹線をつくった男、元国鉄技師長の島秀雄さんだということに、筆者以外の報道陣は誰もが気づいていなかった。島さんは1964年の東海道新幹線開業式には招待されず、それを長年心苦しく思っていた須田社長が、この日の試乗会にサプライズ招待したのだった。
それから5日後の3月14日、6時00分発「のぞみ301号」は新大阪に向けてついに走り始めた。が、この列車は新横浜に停車後、名古屋、京都には停車せず、東京―新大阪間を2時間30分で結んだ。世に言う「名古屋飛ばし」で、当然ながら名古屋地区の反発を招いた。筆者は「のぞみ301号」の出発式後に同列車に乗車し、1番列車の「名古屋飛ばし」を同乗取材している。その後、1997年11月29日に「名古屋飛ばし」は解消された。
【2022年5月6日15時40分追記:初出時、スライドショー(下)の写真19枚目と26枚目のキャプション地名に誤りがあったため訂正しました】
東海道新幹線「のぞみ」30年
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300系デビュー時の姿。大井車両基地で
100系や0系と並んだ姿(撮影:南正時)
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300系の量産先行車J0(後にJ1)編成。先頭部側面の
出っ張りや前面窓形状などが異なる(撮影:南正時)
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「のぞみ」出発式取材の際の筆者
=1992年3月14日(所蔵:南正時)
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出発式後の「のぞみ」1番列車に乗車
=1992年3月14日(撮影:南正時)
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「のぞみ」運行開始初日の取材陣
=1992年3月14日(撮影:南正時)
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初日の「のぞみ301号」で配られた記念品
=1992年3月14日(撮影:南正時)
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300系走行中の運転台。筆者が代表取材した
(撮影:南正時)
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営業運転開始2日目、日本平付近を走る300系「のぞみ」
(撮影:南正時)
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300系と並ぶ0系。新幹線の世代交代を示す1コマ
(撮影:南正時)
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大井車両基地に並んだ300系・100系・WIN350
(撮影:南正時)
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掛川付近を快走する300系
(撮影:南正時)
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富士山をバックに富士川を渡る300系
(撮影:南正時)
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日本平付近を疾走する300系
(撮影:南正時)
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「赤富士」をバックに快走する300系
(撮影:南正時)
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米原付近を走る300系
(撮影:南正時)
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時速270kmで疾走する300系
(撮影:南正時)
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春の伊吹山をバックに快走する300系
(撮影:南正時)
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京都付近で在来線と並走する300系
(撮影:南正時)
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阪急京都線水無瀬駅の横を走り抜ける300系
(撮影:南正時)
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引退のステッカーを張った300系
(撮影:南正時)
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「ありがとう300系」のステッカー
(撮影:南正時)
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富士山を背景に快走する500系
(撮影:南正時)
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日本平付近を疾走する500系のサイドビュー
(撮影:南正時)
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静岡付近を走る500系。先鋭的なデザインがよくわかる
(撮影:南正時)
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有楽町付近を走る500系
=2008年(撮影:南正時)
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阪急京都線と並走する水無瀬付近を行く500系
(撮影:南正時)
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700系登場時の試乗会列車
(撮影:南正時)
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700系登場時の試乗会列車
(撮影:南正時)
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700系試乗会で配布された記念品類
(撮影:南正時)
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700系試乗会で記念品を配布するスタッフ
(撮影:南正時)
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700系の運転台
(撮影:南正時)
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「カモノハシ」と呼ばれた700系の先頭部
(撮影:南正時)
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「AMBITIOUS JAPAN!」のロゴが
入った700系=2004年(撮影:南正時)
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「AMBITIOUS JAPAN!」のロゴが
入った700系=2004年(撮影:南正時)
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雪の伊吹山をバックに走る700系
(撮影:南正時)
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京都を発車して東京へ向かう700系
(撮影:南正時)
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平塚付近を走る700系
(撮影:南正時)
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東京駅に到着する700系
(撮影:南正時)
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N700系の試乗会列車
=2007年(撮影:南正時)
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N700系の喫煙ルーム
=2007年(撮影:南正時)
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始発の「のぞみ」として走るN700系
=2007年10月(撮影:南正時)
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新雪の富士山とN700A
(撮影:南正時)
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多摩川を渡るN700
(撮影:南正時)
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N700系(手前)・700系(奥)と東京タワー
(撮影:南正時)
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夕暮れの浜松付近を疾走するN700
(撮影:南正時)
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時速285km先行体験列車の運転台
=2015年(撮影:南正時)
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時速285km体験列車の列車番号。1桁目の9は
臨時列車を表す(撮影:南正時)
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時速285km体験列車の到着後、報道陣の取材を受ける
新幹線鉄道本部長=2015年(撮影:南正時)
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N700Sの側面ロゴ
(撮影:南正時)
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小田原城をバックに走るN700S
(撮影:南正時)
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