転職の成功は「弱いつながり」人脈がもたらす理由 MBA流「人的ネットワーク」づくりの極意と事例

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それが、トラスト・タイに発展すると、信頼し合える仲間ができ、「誘われる力」や「応援される力」につながる。そして、自分の能力が向上し、志・価値観が明確になる。さらに、多くの時間を過ごすサードプレイス・タイがあるからこそ、心のよりどころ、精神的安定がもたらされ、自分らしく活躍することができる。

つながりの強さを変化させ、他者とのつながりの中で、自分の志・価値観を明確にし、「自分のタグ」をつくっていくことにチャレンジしてみてほしい。明確になった段階でウィーク・タイをつくり、タグを発信していくことで、自分の志・タグに関わる情報や機会がもたらされ、ビジネスでの活躍につながっていくのだ。

この流れを参考にしつつ、レベル2以上と自己認識する読者は、それぞれの段階に合ったつながりを構築することにチャレンジしてみていただきたい。

つながりを発展させレベルを上げた事例

「弱い紐帯」から「強い紐帯」へとつながりを発展させ、自分自身のネットワーキング・レベルを上げたビジネスパーソンの事例を紹介する。

⿠社内でDX推進に関わるYさん
これまでSNSでの発信はしておらず、友人の投稿をただ眺めるだけだった。また自分に発信できる内容があると思っていなかった。
興味があるコミュニティに入りミートアップ・タイをつくった。その後、トラスト・タイに発展した仲間と中心メンバーとして活躍しているうちに、コミュニティのメンバーにDXについて教えてほしいと声をかけられた。
自分が持っている情報を最大限に提供し、発信を続けているうちに、DXのYさんというタグが認識される。そして、イベントの企画を行ったり、登壇者として声をかけられたりするようになった。
現在はウィーク・タイからの情報も得ながら、社内でDXのリーダーとして活躍している。
⿠大手自動車メーカーに勤めるNさん
これまで自分には強みはないと思っていた。何か特別なスキルを身に付けたいと社会人大学院に通い始めた。
社会人大学院では、授業の勉強会の主催をはじめ、イベント運営委員の委員長などを通じて、ミートアップ・タイ、トラスト・タイをつくっていった。
このような人とのつながりの中で、自分のやりたいこと、ありたい姿を仲間と語り合った。最初は漠然としていた想いが、言語化が進むうちに明確化し、新たなコミュニティの立ち上げにつながった。
コミュニティでの活動が拡がり、イベントの登壇や、ビジネスプラン・コンテストの審査員の依頼を受けるようになる。
現在では、会社員としてだけではなく、仲間との起業を目指しており、ウィーク・タイを活かし活動の幅を拡げている。

以上、見てきたとおり、ネットワーキング・レベルが低いという自覚がある人は、まずはミートアップ・タイをつくり、意図的に維持することで、トラスト・タイからサードプレイス・タイと、より「強い紐帯」に発展させていくとよい。

そうすることで、自分自身のネットワーキング・レベルが上がると、「弱い紐帯」も拡がって、「弱い紐帯の強さ」の恩恵も受けやすくなる。

今回の私たちの研究プロジェクトでも、ネットワーキング・レベルの高い人ほど、意図的に「弱い紐帯」をつくっていることが見て取れたのである。

田久保 善彦 グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長

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田久保 善彦 / Takubo Yoshihiko

慶應義塾大学理工学部卒業、学士(工学)、修士(工学)、博士(学術)。スイスIMD PEDコース修了。株式会社三菱総合研究所を経て、現在グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長。経済同友会幹事、上場企業およびベンチャー企業外取締役等も務める。著書に『ビジネス数字力を鍛える』『社内を動かす力』(ダイヤモンド社)、共著に『志を育てる』、『グロービス流 キャリアをつくる技術と戦略』、『27歳からのMBA グロービス流ビジネス基礎力10』(東洋経済新報社)等、多数。

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