名古屋駅の地下深くへ、進む「リニア駅」巨大工事 駅前「超一等地」の用地買収、すでに9割取得済み

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名古屋駅の上から見た太閤通口(左)と桜通口(右)のリニア工事現場。更地化が順調に進み、開削工事も始まった(記者撮影)

上空から見下ろすと、駅と交差するように地上の建築物が撤去されている様子がよくわかる。JR名古屋駅で進む、リニア中央新幹線の建設現場。これから地下で本格的な工事が始まろうとしている。

JR東海が行っている東京・品川と名古屋を結ぶリニア中央新幹線の工事は静岡県の猛反対により、静岡工区だけがいまだに着手できていない。JR東海と県の間で争点になっている大井川の水資源については、昨年12月に国の有識者会議が中下流域を流れる水や地下水への影響は少ないという中間報告を取りまとめたが、県に譲る気配はない。JR東海が目標としていた2027年の開業はもはや不可能となった。

静岡以外の工区では着々と工事が進んでいる。だが、工事が本格化するにつれ、事故が目立つようになってきた。昨年10月には岐阜県中津川市のトンネル工事現場で崩落事故が発生し作業員2人が死傷。その後も軽微なものも含めれば、昨年11月に長野、今年3月に愛知など複数の県のトンネル工事現場で事故が相次ぐ。

名古屋駅全体では860mの長さ

このような状況の中、JR東海は4月13日にリニア名古屋駅の建設現場を報道陣に公開した。

リニア名古屋駅は地下駅。新幹線、在来線の名古屋駅と十字にクロスするように設置される。駅前に高層ビルが建ち並ぶ桜通口ではJRゲートタワーの真下、逆側の太閤通口ではビックカメラの北側との間を結ぶ。地表から30〜40mまでの地下に巨大空間を造り、そこに島式ホーム2面4線が設置される。ホームの長さはおよそ400m。さらに上下渡り線などの設備などを加えると、駅の全長は860m、幅は最大で60mとなる。

リニアのトンネル工事では、地域や地盤の特性に応じて異なる工事手法が求められる。たとえば山岳部では一般的なトンネル工事同様、掘削した箇所の表面を吹付けコンクリートで固めたうえでトンネル周囲の岩盤をボルトとコンクリートで固定するNATM(ナトム)工法が、都市部では鋼製の筒に守られる中をカッターが土を削りながら掘り進むシールド工法が用いられる。

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