名古屋駅の地下深くへ、進む「リニア駅」巨大工事 駅前「超一等地」の用地買収、すでに9割取得済み

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品川駅と名古屋駅では地表から掘り下げていく開削工法が採用されている。在来線や新幹線の安全走行に支障がないように慎重に工事を行う。名古屋駅の工区は駅直下部分を含む中央東工区、中央西工区のほかに桜通口の東山線工区、東工区、および太閤通口側の西工区の5つに分かれる。今回公開されたのは東工区。東西約180m、南北20〜35mのエリアを整備する。

東工区のすぐ近くには名古屋駅前を代表する高層ビル「大名古屋ビルヂング」がそびえ立つ。周囲は超一等地である。

JR東海はその敷地を買い取り、地上の建物を解体、建物地下の構造物も工事に支障が出るため撤去して開削工事を行う。リニア完成後、更地となった地上部分には避難設備や換気設備を設置するが、「市には広場として活用する計画がある。当社しても協力したい」と、JR東海中央新幹線建設部で名古屋駅を担当する関戸淳二担当部長が話す。

工区と重なる寺の鐘楼門を移設

東工区の現場ではおよそ60人の作業員が建物の地下構造物の撤去を進め、地下工事の際に周囲の土が崩れてこないよう防護壁を造っている。現場のすぐ真北には称名寺という寺がある。寺の鐘楼門の場所が用地と重なっていたため、その敷地をJR東海に売却した。鐘楼門はいったん解体して数m先の敷地外に移設した。

報道陣に公開された東工区の工事現場(記者撮影)

ほかの工区のトンネル工事で事故が続いたことを受け、「経験を積み重ねることでゼロ災害につなげないといけない」と関戸部長が気を引き締める。さらに、この現場では周囲が市街地であることを踏まえ、「騒音・振動を抑えるよう、既存の建物に配慮する必要がある」という。難易度は高い。

名古屋駅直上の高層ビルから見下ろすと、桜通口側、太閤通口側ともにビルが解体され、更地になっている様子が見て取れる。「件数ベースで9割以上の用地が取得済み。あと少し」と関戸部長が話す。太閤通口側も更地が進む。4棟の建物がぽつんと立っているが、うち2棟は補償契約済みで、残る2棟が交渉中という。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げ。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に定年退職後の現在は鉄道業界を中心に社内外の媒体で執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京交通短期大学特別教養講座講師。休日は東京都観光ボランティアとしても活動。

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