日本の厳格な「観光鎖国」と海外水際対策の大差 アジア各国は続々と外国人観光客ウェルカムに
また7月の国会議員選挙を控え、日本の与党指導者たちは、自民党の過半数獲得の可能性を危うくするようなこと、つまり観光を再開してコロナウイルス感染者が増加する危険を冒すようなことはしないだろうと考えられる。
政治リスクコンサルタント会社テネオの日本担当アナリスト、ジェームズ・ブレイディ氏は、「規制がいつ撤廃されるかは不明だが、選挙前に撤廃されることはないだろう」と述べた。
しかし投票結果が出れば、多少なりとも変化が見られるかもしれない。選挙後、「(岸田文雄首相は)規制緩和を始め、国境を開く自由度を得るだろう」とブレイディ氏は語る。加えて、日本の二大観光源である中国と韓国においてコロナ禍がどのように推移しているか、日本政府がどう判断するかも大きな要素になるだろうと述べた。
外国人渡航制限に対する信頼感高い
それでも政治家たちは国民感情を見極めながら、少しずつ規制を撤廃していくと思われる。保健政策を専門とする帝京大学の山本秀樹教授は、日本がG7諸国の中で最も厳しい外国人渡航制限を設けているという考え方が、それがコロナ対策に実際に効果があったかどうかにかかわらず、国内では好評を博していると話す。
実際、日本はほかの富裕国よりもコロナ対策に成功しており、他国で見られるような厳しい閉鎖措置に頼ることなく、感染者数および全体の死亡率を比較的低く抑えることに成功している。今年2月の流行の最盛期でも、1日の新規感染者数が10万人を超えたのは一度だけだった。
アメリカやヨーロッパでは、デルタ株やオミクロン株の流行が拡大し、規制が強化される中、日本では、全国にわたるマスク着用の常識を除き、外食やショッピング、ライブやスポーツ観戦、観光局の新サイトで紹介されている観光地への旅行など、ほぼ通常通りの生活が行われている。
日本がウイルス対策に成功した理由は不明だ。専門家の多くは、国民の約80%が少なくとも2回、40%以上が3回の予防接種を受けているという高い接種率に加え、公衆衛生上の推奨事項を国民が受け入れていることを理由に挙げている。一方、日本人は握手よりもお辞儀を好む、あるいは遺伝的に丈夫であるなど、時には奇妙な説も挙がっている。
本当の理由はともかく、世間では外国人規制の効果は絶大という認識になっている(多くの人が、日本人が自由に出入りしてきたという不都合な事実を無視している)。