日本の厳格な「観光鎖国」と海外水際対策の大差 アジア各国は続々と外国人観光客ウェルカムに

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日本はいつまで厳しい水際対策を続けるのだろうか(写真:shimanto/PIXTA)

日本政府観光局は先ごろ、日本の有名な「おもてなし」を体験したい外国人旅行者に向けて、魅力的なウェブサイトを公開した。案内用の動画では、緑豊かな島々が点在する紺碧の湾を一望でき、息を呑むような眺望を誇る洗練されたホテルの客室や、上品に調理された魚介類の食欲をそそるクローズアップが紹介されている。

まあ、実際に体験できるといいのだが。

例年であれば、日本への観光はこの時期がピークである。だが、京都の古い寺の並ぶ路地に桜が咲き乱れ、東京の花見川を船が行き交う中、日本人観光客がその壮大な光景を独り占めしている。

他国より慎重な姿勢を貫く日本

日本は新型コロナ禍の初期にほとんどの外国人旅行者を入国禁止にし、最近になってようやく学生やビジネスマンの帰国を徐々に許可し始めた。これは、中国を除くアジアの近隣諸国が旅行制限を大幅に緩和しているのとは対照的である。

日本に遊びに行きたいと考えている人は、期待しないほうがいい。観光局の願いとは裏腹に、和田浩一観光庁長官は先月、国会で「長期的なインバウンド(観光)の動向を見通すことは極めて難しい状況」であると述べた。

その理由は明確だ。世界の多くの国がコロナ禍の収束を宣言する中、日本の政治家や国民はより慎重な姿勢を維持している。国境管理が感染者数を抑えているという決定的な証拠はないが、日本国内では絶大な支持を受けている。公共放送局NHKが最近行った世論調査では、回答者の65%以上がこうした国境措置に賛成、あるいは強化すべきと回答している。

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