日本の厳格な「観光鎖国」と海外水際対策の大差 アジア各国は続々と外国人観光客ウェルカムに

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もちろん、誰もが観光客に対する鎖国を支持しているわけではない。規制により、中国や韓国のほか、遠方からの観光客に頼ってきた地域経済が圧迫されている。日本アルプスのスキー場も、九州の温泉街も、遠く離れた南国の島々も、みな財政難に陥っている。

関西大学のある教授が行った調査によると、日本の観光産業の停止は、おそらく2020年だけで少なくとも900億ドル(約11.5兆円)の損失をもたらしたという。

観光客が減って安どしている地域も

しかし、京都のように観光客に大きく経済が依存している都市でも、コロナ禍以前の数年間、通りや名所に押し寄せていた観光バスによる渋滞から一息つけると喜んでいる地元の人たちもいる。

京都出身の小説家、柏木圭一郎は最近のエッセイで、京都の静寂をかき消す観光の「喧噪」を同胞が嘆いてきた中、「コロナの大流行という大災厄が、失われた街の美を回復させたのは皮肉だ」と書いている。

斉藤鉄夫運輸相は3月、国会で「再開の暁には、『オーバーツーリズムを防ぐ』ための措置など、観光客へのPRの仕方を考え直す必要がある」と述べた。

観光客が戻ってくるのを心待ちにしている事業が政府からの多額の補助金に助けられ、また、日本人旅行者が海外で旅行をすることの危険性や健康への影響を敬遠するようになり、国内観光が活性化した。

日本政府はできるだけ早く多くの観光客を受け入れたいが、国内情勢の推移を見るまでは慎重な姿勢を保っていると与党議員の小島敏文氏は語る。

「(突然の観光客の流入がどう影響するかはわからないため)当面は国内観光客、日本人観光客をウォーミングアップとして迎え、海外からのインバウンド観光客をどう増やすかを考えている」と小島氏は述べている。

ここ数カ月、東南アジアの国々は、比較的高いワクチン接種率に加えて、ウイルスと安全に共存し、低迷している観光業を復活させるという決意から、自由な旅行を広く再開することが妥当だとして、国際観光に対する規制を緩めることに躍起になっている。

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