コロナで増加!「子どもの疲労骨折」を防ぐ方法 「牛乳ラッシー」を飲むべきこれだけの理由

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カルシウムは体内にためておくことができないため、毎日摂取しなくてはならない。しかし、やっかいなことに、カルシウムは吸収率が悪く、乳製品で40%、小魚で33%、野菜では19%程度しか吸収されない。この吸収率を高めるのが、先に述べた活性化ビタミンDだ。

日に当たることは、骨の成長にとってさらに良い効果もある。日中日に当たると、メラトニンという物質が生成され、夜になったときに眠りを促してくれる。夜にしっかり眠ると、成長ホルモンが分泌され、骨の成長も促される。カルシウム、ビタミンDに加えて、規則正しい生活が骨を丈夫にするのには欠かせない。

クエン酸をうまく取るための「牛乳ラッシー」

カルシウムなどがしっかり摂れる食事に、屋外での適度な運動、十分な睡眠――。どれも自宅でできれば理想的なのだが、学校と同じレベルで実現するのはなかなか難しいという人も多いだろう。そこでおすすめなのが、カルシウムの吸収率をぐっと高める方法だ。

それは、カルシウムの含まれた食品とクエン酸と一緒に摂ること。飯田さんによると、クエン酸はカルシウムを包み込み、水に溶けやすい性質に変えてくれるため、吸収力が10%近く高まるのだという。

筆者作成の牛乳ラッシー。さっぱりしてい手これからの季節にピッタリ(写真:筆者撮影)

飯田さんがおすすめする飲み方が「牛乳ラッシー」だ。牛乳150ccにレモンの絞り汁かレモン果汁大さじ2杯、はちみつを大さじ1杯入れて、よく混ぜればできあがり。筆者も作ってみたが、牛乳がとろっとして、さっぱりめの飲むヨーグルトのよう。はちみつの甘さも引き立ち、とても飲みやすかった。レモンの適度な酸味もさわやかで、気温が上がってきた今の時期にぴったりだ。

飯田さんが行った調査では、この牛乳ラッシーを、一定期間小学生16人に毎日摂ってもらったところ、摂取前は同世代の平均値の95.4%と平均を下回っていた骨密度が、1年後には100.6%、2年後には105.3%まで増加し、それが1年半後の3年半後も維持できていたという(下図)。

牛乳ラッシー摂取による骨密度の変化(グラフ:飯田さん提供)

高校生と大学生の子どもを持つ飯田さんは、子どもが牛乳アレルギーのためカルシウム入りの大豆飲料などに置き換えて自宅で実践しているという。

「100円ショップのプロテインシェイカーを買って、『牛乳(大豆飲料)はここまで』『はちみつはここまで』と線を書いておくと、子どもが自分でつくれるのでおすすめです。氷を一つ入れておくと、冷たくておいしく、シェイクした後吹きこぼれるのを防止してくれます。はちみつが入っているので乳幼児はNGですが、運動後に飲むと熱中症予防にもなります」(飯田さん)

もちろん、子どもだけでなく、大人が骨密度の低下を防ぐために飲むのもいい。カルシウムは摂りすぎても、不要な分は体外から排出されるため、食物から摂取する分には摂りすぎの心配はいらない。

アレルギーがある場合や牛乳が苦手な場合は、もちろん小魚でもいい。しらすにレモン汁をかけても、さっぱりといただける。最近では、カルシウム入りの飲料やお菓子なども発売されており、何かしら工夫して摂取するのがよさそうだ。

コロナ禍で明らかになった子どもの骨の問題だが、家庭でもできる対策も多い。将来骨折しにくい骨を作るためにも、今から始めてみてはどうだろうか。

(構成:ライター・市岡ひかり)

山内 リカ 東洋経済オンライン 編集者
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